2000 Fiscal Year Annual Research Report
イタイイタイ病およびカドミウム中毒の被害と社会的影響に関わる環境社会学的研究
Project/Area Number |
11410051
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
飯島 伸子 東京都立大学, 人文学部, 教授 (20010019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 賢 明治学院大学, 社会学部, 講師 (80308072)
渡辺 伸一 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70270139)
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Keywords | 富山県のイタイイタイ病 / 長崎県対馬のカドミウム中毒 / 群馬県安中町のカドミウム中毒 / 古典的な公害病 / 被害構造 / 環境差別 |
Research Abstract |
平成12年度は、研究課題<イタイイタイ病及びカドミウム中毒の被害と社会的影響に関わる環境社会学的研究>3ヵ年継続研究の第2年度目にあたる。第1年度に実施した研究の基礎固めのための聞き取り調査や資料収集で得られた情報を分析しつつ、次の段階の調査研究を遂行した。研究者間での検討会の開催、聞き取り調査と資料収集を含む現地調査を2本の柱として研究を進めてきた。現地調査としては、当初、関係住民が集中している地域で調査票を用いた量的調査の実施を予定していたが、対象者たちが置かれた状況がきわめて微妙で、通常の調査票調査の実施には困難が大きいことが判明したので、同じ対象者群に対する丹念な聞き取り調査をおこなうことに変更した。調査対象者が居住している富山県婦負郡婦中町、富山市、岐阜県神岡町、群馬県安中市、高崎市、長崎県対馬、長崎市などに、時には、ある程度長期間滞在しながら、関係住民を初め、大学や研究機関の研究者、県レベルから市町村レベルの行政関係者、かつての公害裁判の原告だったひとびとが組織した運動団体、弁護士たち、医療関係者などに対する聞き取り調査を重ね、必要な資料の収集をおこなった。事件が発生してから長い年月が過ぎていることから、資料や情報の収集は、必ずしも容易でなくなっているという厳しい現実が立ちはだかるが、それでも、有力な情報を保持している関係者たちを新たに発見し、接触し、これまで知られていなかった情報を、多く収集することに成功した。こうして得られた情報、それらを分析して得られた知見などは、社会学的に見て、きわめて重要なものが多分に含まれている。最終年度の次年度の調査研究の機会を最大限に活用することで、四大公害問題の中で社会学的な研究成果が蓄積されている熊本の水俣病問題、新潟の水俣病問題に対して遅れが目立っていたイタイイタイ病問題の社会学的研究が、その遅れを取り戻す可能性は高い。
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Research Products
(1 results)