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2001 Fiscal Year Annual Research Report

イタイイタイ病およびカドミウム中毒の被害と社会的影響に関わる環境社会学的研究

Research Project

Project/Area Number 11410051
Research InstitutionNara University of Education

Principal Investigator

渡辺 伸一  奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70270139)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 藤川 賢  明治学院大学, 社会学部, 専任講師 (80308072)
Keywords公害 / イタイイタイ病 / カドミウム汚染 / 生活被害
Research Abstract

神通川流域の各農家は、カドミウム汚染による農産物被害によって収量が減収し、経済的に大きな打撃を被った。病気の発現は、主として高齢の女性に多かったとはいえ、家族全体の労働力によって成り立つ農家にとって、それは、貴重な労働力の縮減を意味した。が、田畑を切り売りするなど「貧困のどん底」に陥った家族は少なかった。その要因には、イタイイタイ病の場合、例えば水俣病と同様に被害の地域集積性は高いが、家族集積性は低いという点が、まずは挙げられる。水俣病の場合では、家族のほとんどが患者というケースも決して例外ではない。第2は、病気の発現が、主として更年期以後の女性に多いという点である。すなわち、一家の労働力の中心となる若夫婦が発病したというケースは、皆無ではないが少なかった。とはいえ、患者発生家族では、患者の介護(食事、入浴、排泄等の世話)の必要から、他の家族構成員、主に一家の主婦にその負担が重くのしかかった。特に初期の通院や入院のための出費は、家計を圧迫した。これらは相俟って、家族の肉体的・精神的苦痛を拡大させ、家族内不和を導き、生活被害を増幅させていった。
他方、裁判提訴前後の時期には、被害発生地域に対し、周囲から「嫁にやれない」「嫁をもらいたくない」などの形での社会的な排斥行動が見られ、被害者を苦しめた。が、裁判に勝訴した頃から次第に、陰口や白眼視は被害の激震地域では少なくなっていった。しかし、一部の集落の被害者家族は、「米が売れなくなる」とか「あなたの家だけで患者が出るのはおかしい」という陰口をたたかれ、「村八分」的な扱いを受けた。こうした社会的差別の様相の地域的差異を生んだ要因としては、1「農業被害の存在が、イタイイタイ病が社会問題化する以前から広く認識されていたか否か」、また、2「集落内および周辺集落における患者数の大小」等が考えられた。

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Published: 2003-04-03   Modified: 2016-04-21  

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