2000 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会における自閉症・知的障害児者の生涯ケアに関する実践的研究(2)-家庭教育・学校教育・施設ケアにおけるTEACCHプログラムの展開-
Project/Area Number |
11410067
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
古川 宇一 北海道教育大学, 教育学部・旭川校, 教授 (10090424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長 和彦 旭川肢体不自由児総合療育センター, 院長
大場 公孝 おしまコロニー, 理事長
木村 健一郎 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (80002559)
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Keywords | TEACCHプログラム / 自閉症 / 障害児教育 / 地域社会 / 生涯ケア / 家庭教育 |
Research Abstract |
本第2次3ヶ年計画、第2年次は、論文としては共同研究者の他、研究協力者43名の協力を得て,12編を「情緒障害教育研究紀要20号2001年」(北海道教育大学旭川校障害児教育研究室発行)123ページから208ページにまとめた。また、2001年2月10・11日、第7回北海道教育大学情緒障害教育学会において、TEACCHプログラムを中心において、末光茂氏の講演と佐藤満雄・寺尾孝士・古川宇一氏によるシンポジウムを行った。 第2年次の研究では、函館では北海道教育大学附属養護学校でTEACCHプログラムを中心に据えた個別教育計画の取り組みが着実な成果をあげている。また、函館市内特殊学級でもTEACCHのアイデアを導入し、学級内でのプログラムへの理解進んでいる例と、自閉症児のみでなくADHD児への指導に成果をあげた例が示された。幼児期においては、TEACCHのアイデアを利用した家庭での指導を援助する具体例が示された。また、成人期施設におけるジョブコーチの指導の実際が示された。函館地区では、着実にキーパーソンが育っており、課題としては、縦・横の連携とアイデアの伝達であり、そのためのコーディネート機能が考えられる。 旭川では、通園施設幼児について、大学においてより構造化された環境での個別指導を行うことによりTEACCHプログラムのアイデアがより生かされ、幼児のコミュニケーション能力と母子関係の改善をみることができた。小学校特殊学級においても自閉傾向の重い児への視覚的構造化のアイデアが生かされ、学級内での行動の切り替わりと見通しを持った活動がスムーズになった。また、構造化された環境において情緒的交流がより起こりやすいことの手がかりを得た事例が示された。旭川TEACCH研究会を3年計画で立ち上げ、幼児施設、福祉施設、学校教育(養護学校・特殊学級)、福祉施設職員の参加を得て、幼・学校・施設の関係者の連携体制のかたちが整ってきた。 各共同研究者のもとにホームページが開設された。資料室の機能の価値はあるが、運用についてはまだ試行錯誤の段階であり、メーリングリストの併用も視野に入ってくる。 札幌地区においてはTEACCHプログラムの家庭療育グループのメーリングリストが専門家も参加して活発な情報交流がなされている。旭川でも同様のメーリングリストの活動を開始した。道東、道央地区福祉施設のTEACCHプログラムの実践がなされており、教育・福祉関係者のメーリングリストの立ち上げが求められる。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 古川宇一,木村健一郎,長和彦,大場公孝: "地域社会における自閉症・知的障害児者の生涯ケアに関する実践的研究(5)-幼児教育・学校教育・医療・施設ケアにおけるTEACCHプログラムの展開10ヶ年計画中間点での展望"情緒障害教育研究紀要. 20号. 123-126 (2001)
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[Publications] 末光茂: "21世紀型『情緒障害教育』への視点と提言"情緒障害教育研究紀要. 20号. 127-132 (2001)
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[Publications] 時田睦美,坂田貴宏,金沢京子,大場靖子: "家庭との連携-TEACCHプログラムのアイデアを利用して-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 133-138 (2001)
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[Publications] 明庭和行,大場公孝,寺尾孝士: "自閉症者に対する実習支援プログラムへの取り組み-星が丘寮の実践を通して-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 139-144 (2001)
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[Publications] 畑中雅昭: "TEACCHプログラムの手法を取り入れた個別指導-小学校特殊学級での事例研究レポート2-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 145-154 (2001)
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[Publications] 谷川忍,植竹敦子,土谷智子: "小学校特殊学級におけるIEPに関する事例研究(2)-個に応じた指導の充実を目指して-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 155-162 (2001)
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[Publications] 太田千佳子,志村克美,吉成透,青山眞二,木村健一郎: "養護学校(知的障害)における自閉症児指導法に関する実践研究(2)-活動への参加が不安定なH児への取り組みを通して-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 163-170 (2001)
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[Publications] 小野久美,竹田高士,瀬川眞砂子,高橋眞理,岡隆治,小野栄治,甲田裕子,神野紋子,古川宇一: "多動と自閉傾向の軽減した幼児の事例-TEACCHプログラムの手法を共有したみどり学園と関係機関の連携-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 171-178 (2001)
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[Publications] 神野紋子,小野久美,甲田裕子,大家光憲,前川愛子,長和彦,古川宇一: "自閉傾向をもつS君の個別学習についての一考察-構造化された場面でのコミュニケーション行動の変容-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 179-185 (2001)
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[Publications] 甲田裕子,小野久美,神野紋子,渡辺まゆみ,青山強,長和彦,古川宇一: "自閉傾向を持つAちゃんの個別学習についての一考察-コミュニケーション能力を伸ばすための支援のあり方を学ぶ-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 186-192 (2001)
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[Publications] 鈴森玲子,岡信恵,齋藤めぐみ,大西将隆,加藤亜湖,長和彦,古川宇一: "A君の社会生活スキルの獲得と情緒性の広がりを目指して-買い物学習・靴ひも結び・絵本の読み聞かせ-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 193-200 (2001)
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[Publications] 古賀いずみ,小笠原智,田中純子,中辻敦子,菅原千尋,大垣麻実,長和彦,古川宇一: "自閉傾向を持つA君へのTEACCHのアイデアを用いた取り組み-行動の切り替えと給食の係活動におけるかかわり手側の工夫-"情緒障害教育研究紀要. 20号. 201-208 (2001)