2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11410124
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宇佐美 齊 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50079620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 康介 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60185197)
吉田 城 京都大学, 文学研究科, 教授 (80127315)
松島 征 京都大学, 総合人間学部, 教授 (90031476)
森本 淳生 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (90283671)
富永 茂樹 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30145213)
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Keywords | 前衛 / アヴァンギャルド / 伝統 / 革新 / 未来派 / シュルレアリスム / ダダイスム / モダニズム |
Research Abstract |
平成13年度は3年間にわたる本研究の最後の年にあたり、研究成果のとりまとめに全力を尽くした。過去2年間の実績をふまえ、研究分担者各自が論文を仕上げ、原稿検討会において周到な相互批判を経たうえで、研究代表者の責任のもとにこれを編集し、一冊の論文集として刊行することに努めた。平成13年11月に京都大学学術出版会より刊行された『アヴァンギャルドの世紀』がそれである。 以下に報告書の構成と各章の趣旨眼目について略述する。研究代表者による序文では「今なぜアヴァンギャルドか」と題して、本研究の目的と意義が提示される。第一章「言説としてのアヴァンギャルド」には、「宣言のディスクール」の分析を通してアヴァンギャルドの本質に迫る大浦康介論文と、ヴァレリー・ブルトン・ベンヤミンのディスク-ル分析を通して問題の核心に迫る森本淳生、水田恭平両論文、そしてクノーのおける「詩的言語の革命」を追跡する松島征論文を収める。第二章「表象としてのアヴァンギャルド」には、絵画、演劇、音楽におけるアヴァンギャルドを論じた三本を収める。すなわちマティスを扱う丹治恆次郎論文、ロシア・アヴァンギャルドにおける「演技身体」を扱う永田靖論文、そして主としてフランス二十世紀における音楽のアヴァンギャルドを扱うピエール・ドゥヴォー論文である。第三章は、「モダニズムからアヴァンギャルドへ」と題して、二十世紀芸術における「新しいアイデア」と「新しい表現手段」の獲得への道筋をたどる。すなわち「新しいアイデア」の獲得を方法論として分析するピエール・バイヤール論文、プルースト、モラン、ブルトンの三人の作家の新しい表現手段の獲得への道を追尋する吉田城、禹朋子両論文である。最後に第四章「文明史におけるアヴァンギャルド」は、稲垣足穂の「未来思想」を論ずる篠原資明論文、王国維の歴史研究を新しい学問論として考察する井波陵一論文、そして「アヴァンギャルドの時間意識」を近代における線分的な時間意識の尖鋭化した帰結として総括する宇佐美齊論文を収める。 なお巻末には人名索引と事項索引が付された。これによって各論文相互のつながりや関連があきらかになるはずである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 宇佐美齊: "中原中也とフランス近代詩"井波律子・井上章一編『文学における近代-転換期の諸相-』. 75-88 (2001)
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[Publications] 松島 征: "レーモン・クノーにおける詩的言語の革命"宇佐美齊編『アヴァンギャルドの世紀』(京都大学学術出版会刊). 105-133 (2001)
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[Publications] 吉田 城: "Maladie et mort de la grand-mere : quelques reflexions genetiques"Marcel Proust, "Nouvelles directions de la recherche proustienne 2"(Actes de la Rencontre de Cerisy-la-Salle, Minard). 3. 75-91 (2001)
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[Publications] 大浦康介: "イエナ派と近代-初期ロマン派にみる<組織化>の黎明"人文學報(京都大学人文科学研究所). 84. 1-22 (2001)
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[Publications] 富永茂樹: "1789年の中間集団-公共性の社会学のために"社会学評論. 200. 509-523 (2000)
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[Publications] 森本淳生: "Du schematisme a l'imaginaire--quelques remarques sur le probleme de l'image chez Valery"ヴァレリー研究(日本ヴァレリー研究センター刊). 2. 39-54 (2001)
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[Publications] 宇佐美齊(編著): "アヴァンギャルドの世紀"京都大学学術出版会. 460 (2001)