カーボンオニオンの構造と電子状態の解明

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11440093
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 林 真至 神戸大学, 工学部, 教授 (50107348)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 和田 節子 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (30017404) ; 藤井 稔 神戸大学, 工学部, 助手 (00273798) ; 柳 久雄 神戸大学, 工学部, 助手 (00220179)
• Keywords: フラーレン / カーボンオニオン / π電子 / グラファイト / ダイアモンド / ナノ粒子

Research Abstract

1.カーボンオニオンの構造と電子状態:直径が約5nmのダイアモンドナノ粒子を真空中熱アニールすることにより、球状オニオンおよび多面体オニオンを作製した。これらについて、高分解能電子顕微鏡観察、電子エネルギー損失分光、ラマン散乱分光、電子スピン共鳴分光により構造と電子状態の相関関係について調べた。その結果、球状オニオンは、6員環と5員環からなる完全に閉じたフラーレン構造ではなく、sp3結合を含む乱れた構造であることが判明した。さらに、π電子は狭い空間に局在化していることも明らかとなった。これに反し、多面体オニオンでは、乱れた構造がよりグラファイト的になり、π電子も非局在化し、球状オニオンとは電子状態が明らかに異なっていることが示唆された。これらの実験結果は、理論的予測とも良く一致している。
2.磁性微粒子内包カーボンカプセルの作製:ダイアモンドナノ粒子と磁性体ナノ粒子(Fe,Ni,Co)を混合し、真空中熱アニールすると、磁性体ナノ粒子を内包するグラファイト的なカプセルが作製されることが見出された。各種分析により、このような内包カプセルは、従来提唱されているものとは異なったメカニズムで形成されることが、示唆された。つまり、金属ナノ粒子表面に接しているダイアモンドナノ粒子が、金属ナノ粒子の触媒的な作用によりグラファイト化し、グラファイト的な層が金属ナノ粒子を隙間なく覆うと考えられる。

Research Products

• [Publications] S,Tomita: "Electron energy-loss spectroscopy of carbon onions"Chemical Physics Letters. 305巻. 225-229 (1999)
• [Publications] S.Tomita: "A new and simple method for thin graphitic coating of magnetic-metal nano particles"Chemical Physics Letters. 316巻. 361-364 (2000)