2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440206
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
金品 昌志 徳島大学, 工学部, 教授 (80035617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VILLENEUVE 真澄美 徳島大学, 工学部, 助手 (30304554)
松木 均 徳島大学, 工学部, 助教授 (40229448)
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Keywords | リン脂質 / 二分子膜 / 相転移 / 高圧力 / 生体膜 / 部分モル体積 / 液晶相 / ゲル相 |
Research Abstract |
生体膜中に最も分布の多いリン脂質はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)であるが,親水基が異なり次に存在比率が高いのはジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)である。リン脂質二分子膜の相挙動におよぼす親水基の効果について検討し,以下のような結果を得た。 1.DPPE二分子膜を十分に冷却し,DSC測定するとラメラ結晶相(Lc)から液晶相(Lα)への相転移が観測され,さらに冷却・昇温を繰り返すとLc/Lα転移温度より低温でラメラゲル相(Lβ)からLα相への主転移が観測された。主転移は再現性良く観測できるが,Lc/Lα転移は試料を十分に冷却放置することが必要で,言い換えると,Lc相への移行速度は極めて遅い。また,Lβ相は準安定相として存在する。 2.高圧力下(22MPa以上)では,主転移温度より低温側でLc/Lβ相転移が観測され,Lβ相が安定相として出現した。このことは相図においてLβ/Lα転移のdT/dPがLc/Lα転移のそれより大きいため2本のT-P相境界線が22MPaで交わることによる。Lβ/LαおよびLc/Lα転移の体積変化はそれぞれ27.1および51.4cm^3/molとなることから,DPPEの部分モル体積はLc相<Lβ相<Lα相の順に増大する。 3.DPPE二分子膜の主転移温度はDPPC二分子膜のそれより21℃高い。親水基の相挙動におよぼす効果を明らかにするため,DPPEのエタノールアミン基の水素原子を逐次メチル基置換したリン脂質について,その二分子膜の相転移を観測した。1個のメチル基置換が進むと,主転移温度は7〜8℃ずつ低下した。しかしながら,相転移のエンタルピーおよび体積変化には顕著な差異は見られなかった。親水基頭部間の水素結合が原因と考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Hata: "Effect of local anesthetics on the phase transition temperatures of ether-and ester-linked phospholipid bilayer membranes."Colloids & Surfaces B : Biointerface. 18. 41-50 (2000)
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[Publications] T.Hata: "Effect of local anesthetics on the bilayer membrane of dipalmitoyl phosphatidylcholine : interdigitation of lipid bilayer and Vesicle-micelle transition"Biophys.Chem.. 87. 25-36 (2000)
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[Publications] S.Kaneshina: "Partitioning of charged and uncharged local anesthetics into DPPC bilayer membranes in raltion to pH dependence on the transition-temperature depression of the bilayer membranes"Progress Anesth.Mechanism. 6. 103-108 (2000)
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[Publications] 金品昌志: "高圧力下におけるリン脂質二重膜の相挙動"生物物理. 40(2). 94-98 (2000)
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[Publications] 金品昌志: "高圧バイオサイエンスとバイオテクノロジー(菅野・林編)"さんえい出版. 250 (2000)