1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440218
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
酒井 健 東京理科大学, 理学部・第一部, 講師 (30235105)
|
Keywords | 反応速度解析 / 個体瞬間溶解装置 / 吸光光度法 / スペクトル解析 / SPECFIT / 磁気天秤 / 溶液反応 / 溶液平衡 |
Research Abstract |
本研究課題の焦点は、固体試料を溶解し分光測定を開始するまでに要するデッドタイムをどんな方法でどこまで短縮するかにある。初年度は、固体瞬間溶解装置の製作に先立ち、装置中枢をなす試料溶解部の改良と実験的評価に重点を置いた。固体試料溶解には、以前の予備的研究で用いたシリンジフィルターを用いた。以前は、溶解時の不溶固体除去に定量分析用濾紙(No.2,5C,etc.)を用いたが、溶液透過時の圧力が高すぎるため、試料溶液を分光セルに導入するのには数秒を要した。本年度の研究では、このろ過材に様々な材科の利用を検討し、最終的にテフロン綿の適用を試みた。市販のポリプロピレン製シリンジフィルターユニットに改良を加え、テフロン綿を装填する空洞部分を設け、実験に用いた。テフロン綿を約5mmの厚さで装填した後、錯体粉体試料を装填し、さらにその上から再度テフロン綿を装填し、試料をサンドイッチするように装填した。試科形態にはメノウ乳鉢で結晶試料を微粉化したものを用いるなどの工夫も行い、実験結果の比較検討を行った。この方法により、デッドタイムを一秒未満に短縮することに成功した。しかし、あまり急速に試料溶液を注入すると気泡が発生し、スペクトルデータに多量のノイズが観測されることが分かった。こ問題を克服するために、試料注入量を少なくすることのできる幅の狭いセルを製作し、約1mlの注入量で実験できるように工夫した。また、気泡発生を抑制するために、減圧条件下での固体試料溶解についても調べた。以上の成果を利用し、これまで検出が困難であった固体試料溶解直後の化学反応検出が可能となった。これらの研究結果を基に、自動固体瞬間溶解システムの設計を行い、製作業者との打ち合わせも進めてきた。次年度は、実際に着工し、自動システムの評価、改良ならびに応用を進める予定である。
|