1999 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球造血因子エリスロポエチンの子宮特異的な生合成制御機構とその生理的意義の解析
Project/Area Number |
11460043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 誠司 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (20260614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 隆造 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60077378)
永尾 雅哉 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (10237498)
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Keywords | エリスロポエチン / エストロゲン / 子宮 |
Research Abstract |
エリスロポエチン(EPO)は腎臓で生産され骨髄の赤血球前駆細胞に作用する。ところが申請者らは、子宮毛細血管にけるEPOの生理作用という、全く予期しない新しいEPOの作用を示唆する現象を観察した。本年度は、子宮におけるEPOの発現の誘導とその変化を解析することを目的とする。 子宮におけるEPO産生は、エストロゲンにより誘導される。一方、腎臓や脳におけるEPO産生を刺激する主たる因子は、酸素濃度の低下である。また肝臓もEPOを生産するが、やはり酸素濃度の低下が、EPO産生を誘導する。そこで生体におけるEPOの産生に関して、エストロゲンおよび低酸素または両方の刺激による効果を解析した。エストロゲン投与・低酸素暴露・両刺激にさらして経時的(0-24時間)に、各臓器を取り出してRNAを取得する。リアルタイムPCR法を用いてEPO mRNAの発現量に変化があるかを解析した。 腎臓および大脳におけるEPO mRNAの発現は、低酸素刺激により誘導された。腎臓での発現誘導は一過的であるが、大脳での発現誘導は低酸素刺激の継続する限り持続的に見られた。エストロゲンはこれらの組織でのEPO mRNA発現誘導に影響を及ぼさなかった。 子宮においては、エストロゲン刺激を加えるとEPO mRNAの発現量は直ちに30倍以上に上昇し、4時間後には元のレベルにまで速やかに減少した。このとき同時に低酸素刺激を付加すると、エストロゲンによるEPO mRNA産生促進効果は更に増幅された。また、子宮においては、低酸素刺激のみではEPO mRNAの発現は促進されなかった。この効果は、エストロゲン受容体を介した一過的なものであることがわかった。これらの組織でのEPO産生を刺激する因子(低酸素・エストロゲン)はそれぞれの組織でのEPOの生理作用を最大限に発揮出来るように調節されていることが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masuda S.,Moon S-K.,Kambe T.,Nagao M and Sasaki R.: "A new biological strategy for high productivity of recombinant proteins in animal cells by the use of hypoxia-responsive enhancer"Biotechnology & Bioengineering. 67. 157-164 (2000)
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[Publications] Masuda S.,Kobayashi T.,Chikuma M.,Nagao M.and Sasaki R.: "Oviduct produces erythropoietin in an estrogen-and oxygen-dependent manner"American Journal of Physiology. (in press).
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[Publications] Masuda S.,Kada E.,Nagao M.and Sasaki R.: "In vitro neuroprotective action of recombinant rat erythropoietin produced by astrocyte cell lines and comparative studies with erythropoietin by chinase hamster ovary cells"Cytotechnology. 29. 207-213 (1999)
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[Publications] Masuda S.,Nagao M.and Sasaki R.: "Erythropoietic, neurotrophic, and angiogenic functions of erythropoietin and regulation of erythropoietin production"International Journal of Hematology. 70. 1-6 (1999)
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[Publications] 増田誠司,佐々木隆造: "赤血球造血因子 (エリスロポエチン) の生理作用と生合成の調節"健康と栄養のライフサイエンス. 4. 17-22 (1999)