2001 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球造血因子エリスロポエチンの子宮特異的な生合成制御機構とその生理的意義の解析
Project/Area Number |
11460043
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
永尾 雅哉 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10237498)
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Keywords | エリスロポエチン / 精巣上体 / 低酸素 / エストロゲン / 子宮 / 卵管 / 血管新生 |
Research Abstract |
エリスロポエチン(EPO)は成体では腎臓で産生され、赤血球の前駆細胞に作用して、その増殖・分化を促進することで赤血球量を調節するホルモンである。しかし、子宮においても生産され、性周期に応じた子宮内膜肥厚に伴う血管形成の促進因子として作用することを見出したことから、生殖系でのEPOの発現についてさらに検討を加えた。その結果、雄性生殖器官においてもエリスロポエチンが産生されることを見出した。以下に成果を列挙する。 1.8週令成熟雄マウスから精巣ならびに精巣上体を摘出し、組織培養を行って培養上清中にEPOが分泌されることを確認した。その際、蛋白合成剤であるシクロヘキシミドを添加すると、培養上清中のEPOタンパク量が減少することより、EPOタンパク質はこれらの組織で新たに合成されていることが明らかになった。 2.精巣ならびに精巣上体でEPO mRNAの発現を認めたが。精巣と精巣上体のEPO mRNA量は、通常状態の腎臓のそれぞれ約6%、40%であり、精巣よりも精巣上体での発現の方が強かった。 3.マウスを低酸素(7%O_2)に曝すことで、精巣ならびに精巣上体でのEPO mRNAの誘導が観察された。 4.マウスの性成熟に伴い、3週令から8週令にかけて精巣上体でのEPO産生が約120倍程度劇的に上昇することが明らかになった。 5.コバルトを投与し、低酸素に曝してEPO mRNAの発現誘導をしたマウスの精巣上体についてin situ hybridizationにより、EPO産生細胞の特定を行った。その結果、管ではなく管の周りの間質細胞でEPO mRNAが発現していることがわかった。
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Research Products
(1 results)