2000 Fiscal Year Annual Research Report
さけ科魚類の回遊行動と水温環境変動への行動的、生理的適応
Project/Area Number |
11460093
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
内藤 靖彦 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80017087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都木 靖彰 東京大学, 海洋研究所・大槌臨海研究センター, 助手 (10212002)
上田 宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00160177)
田中 秀二 国立極地研究所, 生物部門, COE非常動研究員
加藤 明子 国立極地研究所, 研究系, 助手 (80261121)
飯郷 雅之 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10232109)
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Keywords | マイクロデータロガー / Oncorhynchus nerka / Oncorhynchus keta / 遊泳速度 / 遊泳深度 / 経験水温 / 回遊行動 |
Research Abstract |
2000年7月にベーリング海中央部から、27個体のサケ(Oncorhynchus keta)に遊泳速度・遊泳深度・経験水温記録計を装着して放流した(サンプリング間隔5,5,60sec)。現在(Mar.2001)までに、ただ1個体(体長685mm;7月8日放流;放流地点56°30′N,179°00′E)のデータロガーが回収され(9月16日北海道根室沿岸の定置網にて回収)、8月31日までの51日間のデータを得ることができた。サケの水平方向の移動速度は平均で36.2km/dayであった。したがってサケの総移動距離は2427kmと推定されるが、この推定値は、放流地点から再捕地点までの水平距離2760kmの約80%に相当する。したがって、サケは沖合域では方向性をかなり正確に維持していることが明らかとなった。また、回収率が低かったことによって、外洋域で長期間に亘って耐えうるデータロガーの装着方法の開発、データロガーの一層の小型化が研究の進展には不可欠であることが明らかとなった。 日光中禅寺湖において、2000年秋の調査では、計30個体のヒメマスにマイクロデータロガー装着放流し、24のロガーを回収(うち1台は故障)、23個体の経験水温と遊泳深度のデータを得ることができた。本調査では放流と再捕と同時に血液のサンプリングを行ない、血中のホルモン濃度の測定を行なうことにより、調査個体を、未排精雄、排精雄、未排卵雌、排卵雌のグループに正確に分別できることが可能になった。本調査の結果によって、陸封型のベニザケ(Oncorhynchus nerka)であるヒメマスの成熟状態によってどのように遊泳深度が変化していたかについて解析を進めることが可能になった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Naito,Y.,Tanaka,H.and Ueda,H.: "Preliminary report of swimming behavior and the response to temperature of lacustrine masu salmon, Oncorhynchus masou Brevoort, monitored by data logger."Polar Bioscience. 13. 87-95 (2000)
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[Publications] Tanaka,H.,Takagi,Y.and Naito Y.: "Behavioural thermoregulation of chum salmon during homing migration in coastal waters."The Journal of Experimental Biology. 203. 1825-1836 (2000)
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[Publications] Tanaka,H.,Takagi,Y.and Naito Y.: "Studies on the swim behaviour of chum salmon using micro data loggers in coastal waters."Nippon Suisan Gakkaihi. 66(5). 917-918 (2000)