2000 Fiscal Year Annual Research Report
Hsp70とプロテアソームに共通するシャペロン型NDPキナーゼの発見と病態生理
Project/Area Number |
11470043
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Research Institution | Institute for Enzyme Research, The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 仁康 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (40304555)
井上 雅広 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (00232562)
唐渡 孝枝 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (60108876)
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Keywords | 分子シャペロン / プロテアーゼ / Hsp70 / プロテアソーム / ヌクレオシド2リン酸キナーゼ / 反応中間体 / ATP結合蛋白質 / 蛋白質分解 |
Research Abstract |
分子シャペロンのHsp70や14-3-3蛋白質には、蛋白質の折りたたみの制御や細胞内蛋白質の輸送、蛋白分解時の基質の構造変化など多様な機能が見出されているが、その機能を説明する分子基盤はいまだ明確ではない。一方蛋白質分解酵素のプロテアソームは28個のサブユニットからなっているが、プロテアーゼ活性を示すサブユニットはそのうちの一部であり、しかもプロテアーゼの活性中心は分子内部にあって、基質が分解されるためには何らかの機序で基質蛋白質のアンフォールディングが起こり、内部の活性中心にまで到達しなくてはならない。我々はこれまでに分子シャペロシのHsp70とプロテアソームのサブユニットのC5とC8に共通する酵素活性としてヌクレオシド2リン酸(NDP)キナーゼ活性を見出してきた。この活性はヌクレオシド2リン酸とヌクレオシド3リン酸の間でのリン酸基の転移を触媒する酵素活性で、この酵素活性阻害剤のQuercetinは、Hsp70とプロテアソームのシャペロン活性を阻害した。そこで本年度は、Hsp70の中に含まれるNDPキナーゼの活性中心を同定するため、リン酸基転移反応の反応中間体のリン酸化部位とATP結合部位の解析を、Hsp70の遺伝子変異体を作成することにより解析した。その結果Hsp70の自己リン酸化反応中間体は、204Tと211Tのリン酸化であることと、従来報告されていたATP結合部位以外に227H,231E,232Dが新たな結合部位として予想され、NDPキナーゼの活性中心である可能性が示唆された。そこで現在これ等のアミノ酸の変異体の詳細な解析を行い、NDPキナーゼの作用機序と、シャペロン活性におけるその役割を解析している。
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[Publications] Hiroshi Mori: "14-3-3 associates with a translational control ractor FKBP12-rapamycin-associated protein in T cells after stumulation by pervanadate"FEBS Lett.. 467(1). 61-64 (2000)
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[Publications] Kenji Tani: "Chymase is a potent chemoattractant for human monocytes and neutrophils"J.Leuko.Biol.. 67(4). 585-589 (2000)
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[Publications] 矢野仁康: "分子シャペロンと蛋白質分解酵素に認められた新機能ヌクレオシド2リン酸キナーゼ型酵素活性"生化学. 72(1). 41-45 (2000)
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[Publications] 木戸博: "プロテアソームの中の分子シャペロン"BIO Clinica. (in press). (2000)
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[Publications] 木戸博: "シャペロン,プロテアソーム"基礎生化学実験法. 3(in press). (2001)
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[Publications] 木戸博: "分子シャペロンによるタンパク質の立体構造の管理とタンパク質分解"石浦章一 編(シュプリンガーフェアラーク). 12 (2000)