2002 Fiscal Year Annual Research Report
共分散構造分析による外国人年少者の日本語習得と母語保持に影響を与える要因の研究
Project/Area Number |
11480051
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡崎 敏雄 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (00194340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (70195444)
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Keywords | 日本語習得 / 母語保持 / 二言語相互依存 / 有機的全体性 / 習得・保持・言語間関係 / 母語能力上の臨界レベル / 生態学的人間学 / 進化 |
Research Abstract |
本研究は言語習得の保持に影響を与える要因間の因果関係を捉える基盤として「有機的全体性のパラダイム」・それに基づく分析パラダイム:「習得・保持・言語間関係のパラダイム」を定立し、主要結果として以下を得た。 1.従来、習得・保持別々に影響を与えるものとして捉えられて来たのに対し、本研究では諸要因が、習得・保持それぞれに、また、2言語間の関係、特に相互依存に、更に習得・保持・相互依存の三者全体に影響を与えることが示された。2.具体的には、「母語の保持に対する親の積極的姿勢」、「母語保持のレベル差」の要因を取り上げると、「親が積極的保持の姿勢を示すと、母語が一定に達している場合、次のような親の態度による影響が見られる」:(1)日本語・母語間に相互依存が成立(2)母語保持への積極的姿勢に拘らず、日本語習得がよい(3)母語保持も勿論よい(4)この影響には母語能力上の臨界レベルが存在する。そしてその臨界レベルに達しない場合には、習得・保持・相互依存いずれも積極的保持の姿勢を持たない親とほぼ同じである 本研究で、有機的全体性のパラダイムにより、人間行動である言語習得・保持をめぐる精緻的な相互関係性が示された。本研究の過程で既に開始されたが、今後、本研究の一環として同時に示されて来た生態学的人間学の枠組を基礎づけている生物学・生態学における共生及び共生的進化の概念、更に共生・その進化を規程する(リマ・デ・ファリア1994ら)、宇宙の進化を構成する「お互いに相手によって作られた場を通して相互作用する素粒子」、化学元素、無機物の進化を視野に入れた有機的全体性そのものの捉え返しとその下での言語発達を明らかにして行く。
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[Publications] 岡崎 敏雄: "応用言語学研究の課題(1):年少者日本語教育と母語保持研究(1)"文藝言語研究・言語編. 34巻. 157-175 (1998)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "年少者日本語教育に関する教師の言語教育観"日本語科学. 4. 1-23 (1998)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "応用言語研究の課題(2):年少者日本語教育と母語保持研究(2)"文藝言語研究・言語編. 36巻. 51-67 (1999)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "年少者日本語教育における意志決定のパターンの分析"文藝言語研究・言語編. 41巻. 43-55 (2002)
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[Publications] 楠見 孝: "高次認知過程に関するコネクショニストモデルの動向"心理学研究. 72巻6号. 541-555 (2002)
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[Publications] 楠見 孝: "類似性と接近性:人間の認知の特徴について"人工知能学会誌. 17巻1号. 2-7 (2002)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "年少者日本語教育に関する教師の属性による言語教育観の違いの分析"文藝言語研究. 37巻. 93-111 (2000)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "ボランティア援護者のネットワークのエコロジカルな性格と年少者日本語教育-生態学的人間学の立場から共生を見る-"日本語教育学会 ネットワーク調査研究委員会研究報告. 124-139 (2000)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "年少者日本語教育に関わる教師の属性による言語教育観の違いの分析(2)"文藝言語研究. 38. 17-42 (2000)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "年少者日本語教育に関わる教師の意思決定の研究"文藝言語研究. 39. 31-44 (2001)
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[Publications] 岡崎 敏雄: "学習言語能力をどう測るか-TOAMの開発:言語能力の生態学的見方-"日本語教育ブックレット1「多言語環境にある子どもの言語能力の評価」. 1. 48-59 (2002)
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[Publications] 楠見 孝: "メタファ研究の総括、21世紀に向けて:認知心理学の立場から"日本認知言語学会論文集. 2. 268-271 (2002)
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[Publications] 岡崎眸, 岡崎敏雄: "日本語教育における学習の分析とデザイン"凡人社. 182 (2001)
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[Publications] Toshio Okazaki et al.: "New Directions in Japanese Linguistics"Monash Asia Institute. 345 (2000)
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[Publications] 岡崎敏雄 他: "日本語教育と日本語学習-学習ストラテジー論に向けて-"くろしお出版. 239 (1999)