2001 Fiscal Year Annual Research Report
原爆被爆者の骨髄異形成症候群(MDS)に関する疫学的、分子生物学的研究
Project/Area Number |
11480141
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木村 昭郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70127645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50243613)
早川 式彦 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40022834)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / MDS / 原爆 / 被爆者 / 放射線 / 被曝 |
Research Abstract |
原爆被爆者の高令化に伴い、骨髄異形成症候群(MDS)の増加がみられているが、被爆者MDSの遺伝子レベルでの異常を明らかにするため、分化型急性骨髄性白血病の原因遺伝子として同定され、二次性白血病にも関与している可能性が指摘されている転写因子AML1遺伝子に注目し検索をすすめた。AML1遺伝子内のラントドメインの変異をPCR-SSCP及び塩基配列決定により検索したところ、非被爆者MDSでは74症例中2例(2.7%)に変異が認められ、これまでの報告と同程度の頻度であった。しかし、原爆被爆者で低線量被曝を受けたと推測されるMDSにおいては13症例中6例(46%)と高頻度に点突然変異が認められた(ミスセンス3例、ノンセンス1例、サイレンス2例)。点突然変異によりラントドメイン内で終了する欠損型変異体は二量体形成能およびDNA結合能を消失しており、軟写活性はみられず、その機能は消失していた。DNAと直接結合する3領域に変異を有するタイプは二量体形成能が残っており、正常AML1に対して拮抗的(ドミナントネガティブ)に作用した。また、ラントドメインの直前の変異であるG42R変異体は正常AML1より強いDNA結合能、転写活性能を有していた。これらの結果より放射線関連MDS/AMLにおいてAML1の点突然変異が関与していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 木村昭郎: "骨髄異形成症候群(MDS)「血液・造血器疾患・免疫機構の障害」"日本臨床 本邦臨床統計集(1). 59(増刊号7). 504-544 (2001)
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[Publications] Harada, H., et al.: "A hematopoietic-specific transmembrane protein, art-1, is possibly requlated by AML1"Biochem Biophys Res Commun. 284(3). 714-722 (2001)
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[Publications] Katayama, Y., et al.: "Lack of allelic exclusion and isotype class swithing in B cell chronic lymphocytic leukemia"Am. J. Hematol.. 68(4). 295-297 (2001)
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[Publications] Kimura, A.: "Atomic bomb radiation enhances the risk of MDS"Leukemia Res.. 25(Sup.1). S13 (2001)
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[Publications] Harada., et al.: "Somatic mutations of the AML1 gene are frequent in therapy-related and radiation-associated myelodysplastic syndrome/acute myeloid leukemia (MDS/AML)"Blood. 98(11). 567a (2001)
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[Publications] 木村昭郎: "インフォームド・コンセントガイダンス-血液疾患診療編-(月本一郎編)"慢性骨髄性白血病患者へのインフォームド・コンセントの進め方. 1-394 (2001)