1999 Fiscal Year Annual Research Report
空間的な階層概念に基づく河川生態系の構造と機能の把握,及び環境影響評価方法の確立
Project/Area Number |
11480143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鎌田 磨人 徳島大学, 工学部, 助教授 (40304547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 愃義 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (30035331)
上月 康則 徳島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60225373)
中野 晋 徳島大学, 工学部, 助教授 (50198157)
和田 恵次 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80127159)
石川 愼吾 高知大学, 理学部, 教授 (90136359)
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Keywords | 吉野川感潮域 / 干潟 / マクロベントス / スナガニ類 / イセウキヤガラ / 衛星画像解析 / 水理シミュレーション / 生態系アセスメント |
Research Abstract |
1.吉野川感潮域の4つの干潟,29地点でマクロベントスを採取し,塩分濃度およぴ底質の粒度組成を測定した.その結果,1)ゴカイやNotomastus sp.が維持されていくためには,塩分濃度の低い場所にあるシルト環境の干潟が重要である.2)Heteromastus sp.は塩分濃度が高いシルト環境の干潟にまず幼生が定着し,その後,塩分濃度の低い場所に分散する.3)イトメは塩分濃度が3‰〜10.3‰であるシルト環境の干潟で生活史を完結する.ヤマトシジミの成体は塩分濃度が10‰〜15‰である砂礫環境で成体の分布が多いが,幼生の定着には,シルトあるいは砂環境の干潟が重要であることが示唆された。 2.スナガニ類の地上部活動個体の観察および底質環境の調査から以下のことを明らかにした.底質環境は,表層水の塩分の変動が小さい地点では潮間帯下部に、塩分が変動する地点では上部にシルトが堆積していた.スナガニ類の分布も淡水の影響がみられる地点を境に異っており,幼生の定着に淡水および流れが影響していることが示唆された. 3.イセウキヤガラはヨシ帯の背後の流路沿い等,シルトが堆積しやすい場所に分布していることを確認した.その分布範囲は広いが,結実率は上流側で高く,上流側に分布する規模の大きな個体群は種子供給源として重要であることが示唆された。 4.1984年〜1999年の16年間の衛星データから植生活性度の変化を調べた.あわせて,水理現象の再現のために,2次元河床変動計算と準3次元流動シミュレーションの開発を行い,モデル地形を対象とした精度の検証を実施した. 5.研究会を開催し,上記成果や,過去の生態系アセスメントの事例について検討した.そして,河川感潮域における生態系アセスメントの問題点を整理し,本研究課題の中で進めてゆくべき目標について検討した.
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Research Products
(2 results)