2001 Fiscal Year Annual Research Report
タンカーの衝突・座礁による海洋環境リスク評価手法の開発
Project/Area Number |
11555257
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 英臣 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20011132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 欧 三菱重工(株), 長崎研究所, 主任研究員
鈴木 克幸 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (10235939)
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Keywords | タンカー事故 / 海洋環境 / 衝突 / 座礁 / 緩衝型船首構造 / 簡易評価式 |
Research Abstract |
1989年のアラスカ沖のエクソンバルデス号の座礁事故後、相次ぎ発生するタンカーからの油流出事故は、海洋環境に甚大な影響を与えるとともにその対策の必要性を強く認識させた。タンカーの構造に対しても、国際海事機関(IMO)において二重殻またはそれと同等な効果を持つことが義務づけられた。しかし、その後もタンカーからの油流出事故は引き続き起こっている。96年2月にはシーエンプレス号がイギリスで座礁事故を起こし、6万5千トンの原油の流出事故を起こし大規模な環境汚染を引き起こした。日本でも、97年1月に発生したナホトカ号の事故は、日本近海で発生した油流出事故としては最大の被害を与え、97年7月には東京湾でダイアモンドグレース号が座礁事故を起こし、国民に油流出事故の脅威及びその対策の必要性を強く認識させた。 本研究では、この事故時の油流出を低減する技術等の研究を行い、将来の基準化、MARPOL条約の改正に向けてその妥当性を検討した。緩衝型船首構造の有効性を検討した。詳細FEM解析、模型試験により衝突の簡易評価式を作成し、試設計した緩衝型船首構造に対してシリーズ計算を行った。最後に、緩衝型船首構造を設計する際の指針を示した。 今後、緩衝型船首構造が真に有効性を発揮するためには基準化が必要となる。その際には、船首構造を具体的に規定するのではなく、船首構造が持つべき単位面積あたりの圧潰強度の上限、下限(船首構造が柔らかすぎる場合は逆に吸収エネルギーが小さくなり、危険側になる)を規定する必要がある。本研究では基準案における具体的な強度の策定まで行うことはできなかったが、試設計した緩衝型船首構造の有効性をシリーズ計算により確認し、基準となるべき具体的な設計指針を示した。
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[Publications] 鈴木克幸, 他: "船舶の衝突における吸収エネルギーの評価法の研究"日本造船学会論文集. 186. 311-318 (1999)
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[Publications] K.Suzuki, et al.: "A SIMPRIFIED INTERNAL AND EXTERNAL MECHNICS MODEL FOR SHIPS' COLLISION"上海国際会議. (2001)
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[Publications] K.Suzuki, et al.: "Development and Application of Simplified Formula Predicting Collision Damage"2nd International Conference on Collision and Grounding of Ships ICCGS2001. (2001)
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[Publications] K.Suzuki, et al.: "Evaluation Method of Absorbed Energy in Collision of Ship with Anti-Collision Structure"Ship Structure Symposium 2000. (2000)
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[Publications] O Kitamura, et al.: "Model test on the Collapse strength of the buffer bow struct ures"Ship Structure Symposium 2000. (2000)