2000 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素による神経細胞死におけるセラミドを中心としたアポトーシスシグナルの解明
Project/Area Number |
11557104
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂井 昇 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50116852)
中島 茂 岐阜大学, 医学部, 教授 (60188935)
郭 泰彦 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (90242718)
岩間 亨 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (20303498)
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Keywords | 活性酸素 / セラミド / アポトーシス / ネクローシス / ホスホリパーゼD / カスパーゼ / スフィンゴミエリナーゼ |
Research Abstract |
神経系細胞のモデルとしてラット褐色細胞腫細胞株(PC12細胞)を用いた、低酸素負荷での細胞死に中性スフィンゴミエリナーゼ(SMase)の活性化を介するセラミド産生及びその下流でカスパーゼ3の活性化が関与しており、Bcl-2の高発現によってこの中性SMascやカスパーゼ3の活性化が抑制されるという昨年度までの結果を受けて、今年度はまず抗酸化剤であり、中性SMaseの阻害剤でもあるグルタチオン(GSH)の前投与によって低酸素負荷による細胞死が影響されるかを検討した結果、GSHは中性スフィンゴミエリナーゼを介するセラミド産生だけでなく、カスパーゼ3の活性化も抑制することによって細胞死を抑制することができた。レドックスを制御するGSHが関与することからラジカルを含む種々の活性酸素種の関与が示唆された。実際に脳虚血に続発する血液再灌流時には、過酸化水素をはじめとする各種の活性酸素種が発生することが言われていることからもPC12細胞への過酸化水素投与におけるアポトーシス誘導のシグナル伝達経路を低酸素負荷時のアポトーシスと比較検討したところ、低酸素刺激とは異なってセラミド産生は認められなかった。しかしチトクロームcのミトコンドリアからの逸脱によってカスパーゼ9、3が順次活性化され、両刺激群ともにBcl-2の高発現による細胞死の抑制は共通していた。このことは同じ細胞でも低酸素と過酸化ストレスに対する細胞死の誘導には異なった経路が存在することを示唆している。さらに、我々は以前からスフィンゴリン脂質であるセラミド以外のリン脂質にも注目しておりホスホリパーゼD(PLD)の活性化にも着目してきた。そして今回PC12細胞への低酸素負荷時にはPLDアイソザイムのうち、PLD2が細胞死に向かう前段階で活性化され、外因性細菌由来PLDとPLD阻害剤である1-ブタノールの前処置により、それぞれ細胞死が有意に抑制もしくは促進される結果を得たことから、PLDとセラミドの間には相互作用が存在することが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山川春樹 他: "PC12細胞のH_2O_2刺激によるアポトーシスシグナル"Brain Hypoxia. 14. 1-7 (2000)
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[Publications] H Yamakawa, et al: "Activation of caspase-9 and-3 during H_2O_2-induced apoptosis of PC12 cells independent of ceramide formation"Neurol Res. 22. 556-564 (2000)
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[Publications] H Yamakawa, et al: "Increased phospholipase D2 activity during hypoxia-induced death of PC12 cells : its possible anti-apoptotic role"NeuroReport. 11. 3647-3650 (2000)
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[Publications] H Yamakawa, et al: "Crucial role of calpain in hypoxic PC12 cell death ; Calpain but not caspase, mediates degradation of cytoskeletal proteins and protein kinase C-α and-δ"Neurol Res. (in press).