2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮がんの遺伝子治療への試み-遺伝子導入法の検討-
Project/Area Number |
11557130
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (20162802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90239765)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50301891)
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Keywords | ウイルスベクター / E1AFプロモーター / アポトーシス |
Research Abstract |
1.E1AFの上流域の解析 ヒトゲノムライブラリー(JCRB)よりE1AF遺伝子の転写調節領域(プロモーター)のクローニングを行った。シークエンスの結果、E1AFの上流域には、TATA boxは認められなかったが、CAAT boxが存在し、p53、AP2、Sp1の結合配列が認められた。得られたE1AFプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子を含むpGL2レポータープラスミドに組み込みんだ。このレポータープラスミドをE1AFが発現しているPC3やGOTO細胞に遺伝子導入し、その活性を調べたところ、約10倍の転写活性化が認められた。 2.E1AFプロモーターで誘導されるBIKおよびBNIP3発現アデノウイルスベクターの構築 pAd Bgl II CMV BGHpAのCMVプロモーターをE1AFプロモーターに置き換え、その下流にアポトーシスを誘導するBIK遺伝子を組み込んだpAd-E1AF-BIKを構築した。このプラスミドとpJM17を293細胞にco-trans fectionすることによって、recombinant Ad-E1AF-BIKアデノウイルスを得た。 3.細胞への遺伝子導入とアポトーシスの誘導 我々が既にE1AFを強発現していることを確認している口腔扁平上皮がん細胞HSC3、ヒト線維肉腫細胞株HT1080およびE1AFの発現のみられないヒト乳癌細胞株MCF7にウイルスを感染させ、そのアポトーシス誘導活性を検索した。その結果、HT1080では、ウイルス導入細胞で、アポトーシスの誘導が認められた。 4.in vivoでのがん細胞の抑制効果 lx105のHSC3細胞をヌードマウス舌に移植した。移植10日後より2日おきに、マウス舌にAd-E1AF-BIKあるいはコントロールベクターAd-E1AFprをインジェクションし、20日後にマウスを屠殺し、一部はホルマリン固定後、通常の病理組織標本を作製し、光学顕微鏡で観察した。その結果、Ad-E1AF-BIKを投与したマウスでは、腫瘍細胞はほとんど消失し、残存するものはアポトーシスを生じていることが示された。 このような所見はがん細胞に特異的に発現する遺伝子のプロモーター活性を利用したウイルスベクターによる遺伝子治療の有用性を示唆するものであった。
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