2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11557158
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重冨 俊雄 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (80273225)
各務 秀明 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (80242866)
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Keywords | 移植 / 培養 / 唾液腺 / 唾液腺萎縮 |
Research Abstract |
In vivoにおいて、コラーゲンゲル中あるいはマトリゲルとともに培養することで、唾液腺細胞は腺管構造を示すことが知られている。今回、In vivoにおける腺管形成の可能性について検討するために実験を行った。 (顎下腺萎縮モデルの作製) Wistar系ラット(雄性・12週齢)をベントバルビタール腹腔内麻酔下に、絹糸にて顎下腺主導管を結紮した。その後2週間飼育した後、実験に使用した。結紮2週間後の顎下腺のHE染色標本では、終末部腺房細胞の萎縮がみられ、細胞質は少なくなり、核のみが数珠状に配列している像を呈していた。また、導管の拡張と結合組織成分の増加と炎症細胞の浸潤を認めた。 (唾液腺細胞培養) Wistar系ラット(雄性・5週齢)をベントバルビタール腹腔内麻酔下に、顎下腺を摘出し、堀江らの方法で培養を行った。移植には培養2継代目の細胞を用いた。細胞がコンフルエントになった後、単離し唾液腺培養培地を用い、細胞懸濁液を作製した。 (培養唾液腺細胞の顎下腺萎縮モデルへの移植) 顎下腺萎縮モデルラットの導管結紮を解除し、萎縮した唾液腺被膜直下にマイクロシリンジを用いて細胞懸濁液を注入した。生理食塩液を注入したものをコントロールとした。その後、2週間飼育し観察を行った。 (結果・考察) コントロールの顎下腺では、終末部腺房細胞の萎縮がさらに進み、導管細胞数の減少、結合組織成分の増加と炎症細胞の浸潤を認めた。細胞懸濁液を注入した顎下腺では、終末部腺房細胞の萎縮がみられたが、導管細胞数は回復傾向がみられた。今回の実験では、萎縮した唾液腺組織に細胞懸濁液を注入することにより、組織の回復傾向がみられたが、顎下腺萎縮モデルの萎縮の程度等により組織の回復には差がみられるため、この違いが何によるものかの検討が必要である。また、回復に関係する因子に関しても組織学的、生化学的検討が必要である。
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