2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11557194
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
際田 弘志 徳島大学, 薬学部, 教授 (50120184)
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Keywords | リポソーム / FCA / アジュバント / ワクチン / セチルマンノシド |
Research Abstract |
セチルマンノシドにより表面修飾したリポソームがアジュバント効果を有し,ウシ血清アルブミン(BSA)を封入してラット皮下に投与すると抗BSA抗体が産生されること,さらに水素添加卵黄ホスファチジルコリンを基剤とする膜流動性が低く,マンノース修飾率が30%,粒子径が200nmのリポソームを用いた際に最も高い抗体産生能が示されることがこれまでの検討から明らかになっている.そこで本年度は,リポソーム化抗原の体内および細胞内動態を正確に把握する事を目的として検討を行った.その結果,セチルマンノシド修飾リポソームは強力な補体活性化能を持ち,この補体系との相互作用の結果,肝マクロファージに取り込まれることが明らかとなった.補体系の活性化はC3aやC5aなどの低分子ペプチドを産生し,白血球の遊走などの免疫賦活作用を有する事が知られている.さらに,以前の我々の研究から,同リポソームは200nm以下の粒子径の時補体活性化能をほとんど示さないことが既に明らとなっており,これらの結果から,先に観察されたセチルマンノシド修飾リポソームによる強力なアジュバント活性は,リポソーム化による抗原の抗原提示細胞への効率良い導入だけでなく,リポソーム自体によって引き起こされる補体活性化によってもまた亢進されている可能性が強く示唆された.一般に補体活性化は免疫賦活作用と同時にアナフィラキシーなどのアレルギー様副作用の原因となることも報告されており,本リポソームを安全なアジュバントとしてヒトに適用する為には,補体系との相互作用に関してさらなる検討と情報の蓄積が不可欠であることが示された.
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