2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるインフォーマル化の展開-下請制の形成と発展についての調査研究
Project/Area Number |
11610205
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山田 信行 帝京大学, 経済学部, 助教授 (80287002)
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Keywords | 下請制 / インフォーマル化 / 中小企業 / 労使関係 / 資本主義発展 |
Research Abstract |
本年度は、日立製作所日立事業所、その下請企業、およびそれらを組織する協同組合に対して本格的なヒアリング調査を試みた。その結果、日立事業所における事業概要と外注の動向、日立事業所や関連子会社における下請関係の実態、下請企業を組織する協同組合の組織と活動について、以下のような知見を得ることができた。日立事業所は、日立製作所における重電部門の主力事業所であるとともに、発電機器生産に代表される重電部門は依然として日立製作所の事業において大きな比重を占めている。日立事業所においては、その下請企業をいわゆる「協力会」には組織されていないものの、主要な下請企業は協同組合に組織されており、協同組合が会員企業の技術力向上、親睦、会員の研修など「協力会」の機能を代替している。下請関係は、多くの場合と同様に低コスト・短納期・高品質を主要な要件としてとり結ばれているものの、これらの要件を等しく充足することは極めて困難であり、例えば納期を守るために検査を簡略にすることが行われている。本研究の主要な課題であるインフォーマル化に関しては、日立事業所と関係をとり結んでいる下請企業の多くがかつて日立事業所に勤務していた従業員がその上司などの勧めによって創業したものであり、下請関係の端緒がプレモダンな企業内の人格的な労使関係が企業間関係に外延化したもののであることが確認された。もっとも、インフォーマル化の形成に労使対立が関与している程度やインフォーマル化の変容や解体の時期と傾向については、今後の調査に委ねられることになる。
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Research Products
(1 results)