2000 Fiscal Year Annual Research Report
海外日本人学校における勤務経験を有する教員の教育観に関する社会学的研究
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11610236
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Research Institution | Osaka Shoin Women's Junior College |
Principal Investigator |
鈴木 洋昭 樟蔭女子短期大学, 人間関係科, 教授 (90148198)
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Keywords | 海外日本人学校 / 異文化体験 / 国際理解教育 |
Research Abstract |
日本の社会と文化についての理解を深め、日本人としてのアイデンティティの形成に資するという日本人形成の教育と、異文化社会の中にあって、現地の社会文化を体験しつつ理解するという国際人形成の教育の二重の課題を担った海外日本人学校で勤務を経験した教員が、帰国後に日本社会と教育の現場にどのような影響を及ぼしているかを、教員の異文化体験と態度変容の関係に焦点をあて分析することを目的とし、その研究目的を達成するために、以下の研究を実施し、成果を得た。 1.海外日本人学校における勤務経験を有する教員に対して、海外日本人学校における異文化体験が帰国後の教育現場においてどのように活かされているか。帰国後の教員の受け入れについての受け入れ側の対応はどのようであるか。帰国後の教員と受け入れ側双方に面接調査を実施した。 2.教員の異文化体験が教員自身の価値観にどのような影響を与えたか、とりわけ国際理解教育に対する教員の教育観の変化について、海外日本人学校における勤務経験を有する教員の異文化体験と態度変容の関係に焦点をあわせて面接調査を実施した。 3.本年度の研究によって得られた成果として、海外の日本人学校で勤務を経験した教員の異文化体験を活かすには時間が必要である。帰国後の教員は仕事内容の変化と3年間の海外生活による日本社会への順応に苦労するが、そのような状況においても異文化体験を活かすべく努力している。また、教員の異文化体験が教員自身の価値観に確実に影響を与えているといえる。とりわけ国際理解教育に対する教員の教育観の変化については、帰国後の活動の中にはっきりと見ることができる。 4.帰国後の教員の受け入れに関して、教員の受け入ればかりでなく、その家族についての配慮も必要ではないか。特に帰国子女に対してつらい思いをしなくてすむように、派遣教員が帰国後の心配をしなくてすむような配慮が必要と思われる。
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