2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610279
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
近藤 健一郎 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (80291582)
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Keywords | 近代沖縄 / 方言札 / 標準語教育 / 学校記念誌 |
Research Abstract |
1、昨年度から引き続き、沖縄県内の小学校が刊行した学校記念誌に掲載された回想記録や座談会記録を資料として、近代沖縄における方言札の実態について調査研究を行った。本年度は、沖縄島南部地域の小学校を対象とした。明らかにできた点は以下の通り。 (1)方言札の基本的特徴について改めて確認できた。何らかの罰を上級生が加える場合もあった。それは方言を使わないようにさせる相互監視体制の最たるものである。 (2)児童の方言札に対する多様な対応を見いだすことができた。お弁当と交換で方言札を受け取ったり、わんぱくな児童が他の児童に方言札を押しつけたりする場合もあった。 (3)方言札の用いられた範囲についても資料を得ることができた。校門を出ると方言だったという回想の一方で、家に帰っても方言を使う児童を探したという回想もあった。 (4)那覇市のほとんどの小学校では方言札の存在を確かめられず、むしろ方言札の存在を否定する資料が得られたほどである。今後、同時代資料の整理により検討したい。 (5)今回の調査で初めて1900年代後半の方言札についての資料が得られた。これは、これまでの研究による最も古いとされているものと同時期の資料である。 来年度も継続して、同様の調査を沖縄島中北部地域の小学校を対象として行う予定である。 2、論文として発表するには至っていないが、1940年代に編集、使用された3冊の標準語教育に用いられた読本を収集することができた。来年度は、この分析を行いつつ、関連資料の収集を進める予定である。
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Research Products
(1 results)