1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610376
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森川 哲雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (50101275)
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Keywords | 旅蒙商 / 大盛魁 / 綏遠通志稿 / 綏遠 / 庫倫 / キャフタ / 売買域 |
Research Abstract |
清朝時代のモンゴリアは漢人商人(旅蒙商)の進出により中国経済の域内に組み込まれたが、それらの商人たちは極めて限られたグループからなっていたが、彼らは主に山西地方に出自するギルド集団であった。19世紀末にモンゴルを旅行したロシアのポスドネーエフもそれら漢人商人についての報告をしているが、そこに記される有力な貿易商、大盛魁、元盛徳、天義徳、義和敦などの創設者はいずれも山西の出身である。旅豪商はモンゴル各地に進出し、牧民から家畜、毛皮などを購入し、彼らには茶、穀物、衣料などを売った。清代中期以降、露清貿易が外モンゴルの庫倫やキャフタで行われるようになると、これらの旅蒙商はその中心的役割を果たした。本年度は研究の初年度であり、主としてこれらモンゴリアに進出した商人の活動についての資料、研究の調査、収集につとめた。そのために内蒙古の呼和浩特に赴き、内蒙古図書館、内豪古大学、内豪古档案館などで資料調査、収集を行い、特に重要と思われる『綏遠通志稿』の商業、関税の章、ならびに『殺胡口監督署報告書』などの複写を行った。また内豪古各地の文史資料などに掲載されている研究論文を多く収集した。また国内の研究機関からも関連する研究資料を収集した。これに関してはモンゴル国の研究者も注目される研究を行っている。現在これらを講読しているが、旅蒙商の活動の意義について中国側の見解とモンゴル側の見解ではかなり異なっているように見える。すなわち中国側の見解ではこれら旅蒙商の活動を積極的に評価しているのに対し、モンゴル側の見解はそれら旅蒙商があくどい商売をし、牧民を搾取したというものである。これらのいずれも評価しうる点と受け入れがたい点があり、次年度、最終年度において、関連する史料を注意深く分析し、客観的立場からその意義を解明するつもりである。
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