2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国黄渤海地域における都市化とメディアの多様化に関する研究(1870〜1954)
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11610386
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
貴志 俊彦 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (10259567)
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Keywords | メディア / 租界 / 外交 / ラジオ / アーカイヴズ / 不平等条約 / 第一次世界大戦 / 日中戦争 |
Research Abstract |
本年度の主要な成果は次のとおりである。 (1)第一次大戦が東アジア地域の都市にもたらした影響についての考察 ・大戦中布設された青島佐世保間の海底電線をめぐる日中間の外交交渉の全貌を初めて明らかにした。これは前年度に収集した台北の中央研究院近代史研究所の档案を用いた。⇒『東洋学報』第83巻第4号に掲載。 ・大戦後崩壊したドイツ、ロシア両帝国が天津に設置していた租界の返還交渉、及びその後の特別区設置の経緯について、同じく中央研究院近代史研究所の档案を用いて明らかにした。⇒『近きに在りて』第39号に掲載。 (2)第二次大戦中の日中間の電波戦争についての考察 ・日中戦争期、日本(内地・外地)、満洲国、蒋介石政権、汪精衛政権といった主要なる政権主体間に起こった電波戦争を、アメリカ、イギリス、ソ連の放送戦略をまじえて分析し、1930年代から40年代の東アジア地域における放送宣伝戦略について明らかにした。⇒UCバークレイ校と島根県立大学の学術交流シンポジウムでディスカッション・ペーパーとして提出。 ・北京市档案館にのみ所蔵されている日本の傀儡機関「華北広播協会」の社内文書の目録データベースを作成。⇒島根県立大学「メディアセンター年報』第1号に掲載。 なお、本年度の外国旅費による海外調査は、成果公表を準備しているスタンフォード大学フーヴァー研究所のアーカイブズ、及び米国国立公文書館所蔵OSS文書のデータベースを作成するための謝金、およびそのための一部マイクロフィルム購入費に急遽転用した。
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[Publications] 貴志 俊彦: "日中通信問題の一断面-青島佐世保海底電線交渉をめぐる多国間交渉"東洋学報. 83巻4号. 33-57 (2002)
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[Publications] 貴志 俊彦: "帝国の「分身」の崩壊と「異空間」の創出-第一次大戦期の天津租界接収問題をめぐって-"近きに在りて. 39号. 235-252 (2001)
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[Publications] 貴志 俊彦: "北京市〓案館所蔵「華北広播協会」関係文書目録"メディアセンター年報(島根県立大学メディアセンター). 1号. 10-32 (2001)
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[Publications] 貴志 俊彦: "メリーランド州カレッジパークの米国国立公文書館(NARA)"界隈(島根県立大学メディアセンター報). 6号. 6-7 (2002)
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[Publications] 貴志 俊彦: "シンガポール:南洋理工大学アジア・メディア・インフォメーション&コミュニケーション・センター"界隈(島根県立大学メディアセンター報). 5号. 6-7 (2001)
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[Publications] 貴志 俊彦: "ディスカションペーパー Power Struggles in the Radio Media Sphere in East Asia Region during the Sino-Japanese War"カリフォルニア大学バークレイ校と島根県立大学との学術交流シンポジウム. 2001年11月1日. (2001)