2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国黄渤海地域における都市化とメディアの多様化に関する研究(1870〜1954)
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11610386
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
貴志 俊彦 島根県立大学, 総合政策学部, 助教授 (10259567)
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Keywords | 黄海 / 渤海 / 都市化 / メディア / アジア法 / 租界 / 不平等条約 / 都市と農村 |
Research Abstract |
本年度は、華北以外との地域間比較に重点を置きつつ、これまでの研究成果の公表に務めた。 1 他地域との比較 (1)『工部局董事会会議録』などを購入し上海との初歩的な比較を試みたが、時間的制約から十分とはいえなかった。 (2)新しく編纂された『海外各地在留本邦人職業別表』をもとに、東アジアにおける日本人の人口動態から、都市の変容について人口学的な検討を加えた。 2 口頭による成果の公表 (1)国外:上海社会科学院歴史研究所のメンバーを交えた座談会を開催した。 (2)国内:国際日本文化研究センター、旱稲田大学、広島近代史研究会などで、成果の一端を公表し、議論を行った。 また、北東アジア地域学術交流財団が主催するNEARカレッジで、県民向けに成果の一部を解説した。 3 デジタルカメラによる史料撮影の試み これまでの成果を資料的に補完するため、上海や東京の資料館で文書や刊行物の撮影を試みた。漢文、和文、欧文いずれもが、かなり小さなフォントでも判読できたが、地図や写真などの画像情報は使用に値しない。 4 残された課題 課題としたテーマに基づいて、近代中国における都市の構造変容に意を払い、メディアを通じた都市間のつながりを検証してきた結果、新しい史料を発掘することができ、十数編の成果を公表してきた。とはいえ、なお研究途上という感がぬぐえない。本年度、成果の公表を行うなかで、下記のような課題が指摘された。 ○本研究は1870年から1954年までの時期を対象としながら、清末及び1950年代の問題への言及は乏しい。そこで、第二次世界大戦後の都市やメディアの変化については、今後つづけて検討を加える予定である。 ○黄渤海地域の都市といいながら、結局中国側のそれしか留意できず、朝鮮半島や日本の都市に言及できていない。こうした一面的な視座に問題があることは、韓国やアメリカでの調査を通じて痛感し、中国大陸に限定することなく、日本を含めた北東アジアの諸地域を意識した研究が必要であることを痛感している。 ○都市の変容という外形的な側面に意を払うあまり、都市エリート、都市住民、移住者など、都市を舞台に活動する人々の営為についてはほとんど言及されていない。わずか異郷に住む外国人については若干の資料を収集できたにとどまった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 貴志 俊彦: "近代中国における<都市>の成立-不平等条約下の華と洋-"宇野重昭編『北東アジア研究と開発研究』(国際書院). 211-232 (2002)
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[Publications] 貴志 俊彦: "中国の「都市」と「農村」"『リポートNEARカレッジ』(北東アジア地域学術交流財団). 175-185 (2003)
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[Publications] 貴志俊彦, 別枝行夫: "歴史における日朝中関係"『NEAR News』(島根県立大学北東アジア地域研究センター). 第10号. 2-3 (2002)