1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610437
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高山 倫明 九州大学, 文学部, 助教授 (90179565)
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Keywords | 音訳漢字 / 中国資料 / 方言 / 日本語史 / 音韻史 / 唐人貿易 |
Research Abstract |
清代の日本研究書『吾妻鏡補』(翁広平著、嘉慶十九・1814年序)に引かれた佚書「海外奇談」および「東洋客遊略」を主たる資料として、文献方言史的観点から日本語史資料としての中国資料の再検討を行なっているところである。 『吾妻鏡補』は刊行されず写本によって伝わったが、本年度は、国内に存する写本の実見と複写類の収集をはかり、全文をテキストファイル化して校本を作成、写本間の異同、誤写の生じる過程の分析、各写本の特性等を考察した。ついで、一項目毎のテキストデータベースを完成し、音訳漢字と日本語音韻の対応関係を考察し、種々の新たな知見を得ている。 唐人貿易の現場で作られた資料であるだけに、唐通事が使用していた肥前方言が随所に現れ、言語生活史資料としての大きな価値を有することを再確認したが、未解読の項目も少なくない。フィールドワークによって現代肥前方言のデータを収集する必要があり、現在その準備を進めているところである。
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