2000 Fiscal Year Annual Research Report
南アフリカ文学と社会 南アフリカ現代史再構築にむけて
Project/Area Number |
11610548
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
楠瀬 佳子 京都精華大学, 人文学部, 教授 (00200204)
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Keywords | 南アフリカ文学 / 女性作家 / 真実和解委員会 / 文学作品 / アフリカ文学会 / 白人作家 / 南部アフリカ女性作家 / シンディエ・マゴナ |
Research Abstract |
平成12年度の研究目的のひとつは、南アフリカの国家の事業として取り組んでいる真実和解委員会の報告書を分析し、南アフリカの現代史を再構築する試みを行なうことであった。主として、真実和解委員会に報告された記録と、歴史事実と文学作品に描かれたものとを照らし合わせて分析することができた。報告書からは過去の人権侵害の事実が明らかになり、過去の過ちを二度とくり返さないために、文学や社会がどのような努力をしているかを比較的明らかにすることができた。今後の課題として、そうした貴重な歴史資料が文学作品や文学活動のなかにどのように表現されていくのかを継続して調査・分析していく。 4月にカンサス大学で開催されたアフリカ文学会で「南アフリカ文学と現実-真実和解委員会とシンディエ・マゴナ『母から母へ』」について報告をした。8月に南アフリカのケープタウン大学をベースにして、ジェーン・テイラーの『ウブンツー』、アンキー・クロッフの『わが祖国の指導者』などの研究調査を行なった。さらには現代の南アフリカ女性文学を代表する作家であるチナ・ムショペ、グラディス・トーマス、ロレッタ・ンゴボなどにインタビューを行ない、現実の社会のなかで女性が直面している問題の所在を明らかにし、白人女性作家との比較をした。 さらに、8月1日から8日まで開催されたジンバブエ国際ブックフェアで南部アフリカ女性文学の現状について報告し、多くのアフリカ人作家と意見交換ができたことは有意義であった。 10月にはジンバブエ・コミュニティ劇団を招聘し、アフリカがかかえている現代の問題を演劇を通して考察した。
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Research Products
(2 results)