1999 Fiscal Year Annual Research Report
無形の利益が侵害された場合の損害賠償における損害の把握と賠償額の算定
Project/Area Number |
11620042
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
窪田 充見 神戸大学, 法学部, 教授 (60186450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手嶋 豊 神戸大学, 法学部, 教授 (90197781)
大塚 直 学習院大学, 法学部, 教授 (90143346)
山田 誠一 神戸大学, 法学部, 教授 (60134433)
水野 謙 青山学院大学, 法学部, 助教授 (90250406)
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Keywords | 慰謝料 / 精神的損害 / 金融取引 / 因果関係 |
Research Abstract |
窪田は、1999年5月22日の研究会において、「慰謝料、精神的損害、非財産的損害」の報告を行い、(1)ドイツ法における慰謝料請求権をめぐる判例と学説の状況を慰謝料のGenugtuungsfunktion(贖罪的機能)を中心に分析し、その議論を手がかりにして、(2)我が国における精神的損害、非財産的損害、慰謝料の各概念の相互の関係を明らかにした。手嶋は、同年7月3日の研究会において、「慰藉料算定と裁判官の裁量-死亡事故を中心として」の報告を行い、裁判例の分析から、(1)本人の慰謝料と固有の慰謝料の両者を請求する場合、固有の慰謝料のみを請求する場合、ならびに本人の慰謝料のみを請求する場合で、総額はほとんど変わらないこと、(2)慰謝料を導くために述べられている説明が必ずしも具体的な慰謝料額の大小に直接影響を与えていないことを実証し、むしろ、(3)慰謝料額の大小が事件類型と一定の関係があること、すなわち、自動車事故において他の事故類型よりも高額の慰謝料が認められている可能性を指摘した。山田誠一は、同年10月9日の研究会において、「取引により行われた財貨の移転の結果生じた損失を損害とする不法行為」の報告を行ない、変額保険、投資信託、ワラント、株式等を材料として説明義務に関する最高裁判決を検討し、(1)何が過失に当たるかの認定がいずれの判決においてもなされていないことを実証し、そのうえで、(2)義務の程度についてはハンドの定式によるべきこと、(3)義務違反の有無の判断において相手方の理解は必要ではないこと等の具体的な解釈論的提案を行った。大塚直は、2000年3月8日の研究会において、「延命利益・期待権論と割合的因果関係論」の報告を行い、水野謙は、同日の研究会において、「損害論に関する一考察-因果関係論との交錯に注目して」の報告を行った。
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