1999 Fiscal Year Annual Research Report
世界恐慌期日本の国家構想と政治指導 -浜口雄幸と永田鉄山を中心に-
Project/Area Number |
11620078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川田 稔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (50140017)
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Keywords | 浜口雄幸 / 永田鉄山 / 世界恐慌 / 昭和恐慌 / 昭和初期日本政治史 / 政党政治 |
Research Abstract |
浜口雄幸について、すでに恐慌期以前まで研究を進めてきているので、その後の恐慌期の国家構想と政治指導にしぼって検討をおこなった。 その結果、まず第一に、対中国政策において、その方針は、内政不干渉、友好親善の方向で恐慌期以前以後に関わりなくきわめて一貫しており、そのことは、浜口の構想の一貫性を示すと同時に、また時代の変化に照らせば、ある硬直性も感じられるものであることが判明した。 第2に、世界恐慌が日本に波及し、昭和恐慌となってきた時点で、経済政策においては、浜口も、対応の必要性を強く感じ、さまざまな政策を模索するが、結局、当初の課題設定に制約されて、その方策が必ずしも有効なものとならなかったことが、明らかとなった。 第3に、にもかかわらず、当時の政界の中では、浜口に代わるような方向で、有効な恐慌政策を打ち出しえた政治家はなお存在しなかった。 第4に、今日の時点からみても、当時の世界恐慌の状況に於いて、しかも日本の国内的な条件を念頭におくならば、どのような問題解決の方策があり得たのかきわめて難しい問題であることが痛感された。この点については、なおさらなる検討を要する。
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[Publications] 川田 稔: "環太平洋の国際秩序の模索と日本 立憲制的君主制から議会制的君主制へ"山川出版社. 309-345 (1999)
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[Publications] 川田 稔 (共編): "環太平洋の国際秩序の模索と日本"山川出版社. 392 (1999)
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[Publications] 川田 稔 (編): "浜口雄幸集 論述講演篇"未来社. 635 (2000)