1999 Fiscal Year Annual Research Report
政治・経済的変動と投票行動の変容ー日本における経済的業績評価の検証ー
Project/Area Number |
11620088
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
平野 浩 明治学院大学, 法学部, 助教授 (90222249)
|
Keywords | 選挙 / 投票行動 / 業績評価 / 業績投票 / 経済投票 / 政治意識 |
Research Abstract |
1.経済状況と投票行動の関連に関する既存のデータ(92年、95年、96年、98年、の国政選挙時のサーヴェイ・データ)について、質的変数に関する多変量解析を含む詳細な分析を行った。その結果(1)経済投票という観点から有権者の投票行動の変化を見た場合、それらは90年代におけるわが国の政治的・経済的変動の内容から予想されるとおりのものであった。すなわち、第一に、従来の政策領域指向(policyーoriented)の経済投票に代わって、欧米諸国と同様な現職指向(incumbencyーoriented)の投票行動が顕著に現れるようになってきた。第二に、国レベルの経済状況が個人の暮らしに与える影響が強く意識されるようになった結果、いわゆる社会指向(sociotropic)の経済的業績投票が広く見られるようになった。第三に、それでも欧米諸国と比較すれば依然として個人的な暮らし向きに関する認識の効果の強いが、この要因も連立政権のもとではより短期的な政府のパフォーマンス評価の材料となっているように思われる。また(2)経済状況の認識と投票参加の関係については一貫した傾向が認められず、これら二つの変数を媒介する要因を特定することの重要性が示唆された。 2.現在、これらの知見をもとにして、経済投票のメカニズムをより深く解明するためのサンプル・サーヴェイを実施中である。この調査では、経済状況に関する様々なアクターへの責任帰属、経済状況に関する情報源、経済的なパフォーマンスの評価に当たって重視するポイント、経済的な利益に関する諸社会集団との距離感覚、ミクロな利益の交換に関する認識などが質問され、これまで個別的にのみ扱われてきた諸要因の包括的な分析が可能となる。このデータの詳細な分析は次年度において行われる。
|
Research Products
(1 results)