1999 Fiscal Year Annual Research Report
サリーナス政権下におけるメキシコの地域社会構造の変容と政党構造の再編成過程
Project/Area Number |
11620091
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松下 冽 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50229465)
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Keywords | サリーナス政権 / 制度的革命党(PRI) / NAFTA / PRONASOL(全国連帯プログラム) / 民主革命党(PRD) / テクノクラート支配 / ネオ・リベラリズム / クワァウテモック・カルデナス |
Research Abstract |
本年度の研究目的・研究実施計面は、1980年代以降、与野党が争っている特定の地域を抽出して、諸政党の得票動向および国民の意識の変化を政治・社会の変容過程のなかで検討するための基礎的研究作業を行なうことであった。このためには、かなり広範な基礎資料の収集と現地調査を必要としたが、この点では、平成11年9月1〜10日にメキシコ・シティーとミチョアカン州で実施した予備的現地視察と調査の意味は大きかった。 第1に、政党関係者、政府関係者、研究者をはじめ、様々な世代と職業の人々と本研究に関わる意見交換およびインタビューを行なうことができた。とりわけ、初めて訪問したミチョアカン滞在でのこうした人的ネットワークは、今後の研究に継続的にいかせると考える。第2に、研究目的に関わる資料収集で一定の成果を挙げることができた。選挙関連基本資料については、連邦選挙委員会(Instituto Federal Electoral)で、全国的・地域的レベルの各種基本的統計資料については全国情報・地理統計局(Instituto Nacional de Estadistica Geografica e Informatica〉で入手できた。第3に、分析対象地域のひとつとして大都市メキシコ・シティーの重要性が再確認できた。この大都市は,政権党である制度的革命党(PRI)に対抗する市長、すなわちクワァウテモック・カルデナスが政権を握っている。だが、諸政党の得票率からすると地域的に三分割されており、その政治・社会学的分析は重要な課題であることがメキシコの研究者と意見交換で明らかにされた点も成果であった。 以上の研究実績は、今後2年間の研究に向けての基礎作業的意味があった。従って、平成12年度は、今年度の資料分析を踏まえて、メキシコの分析対象地域における地域社会の変容と選挙動向の分析に基づき一次的な具体的成果を発表したいと考えている。
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