2000 Fiscal Year Annual Research Report
サリーナス政権下におけるメキシコの地域社会構造の変容と政党構造の再編成過程
Project/Area Number |
11620091
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松下 冽 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50229465)
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Keywords | ネオリベラリズム / テクノフラート / 予算企画省(SPP) / 全国連帯プログラム / サリーナス政権 / 市民社会 / 新しい社会運動 / 正統性の危機 |
Research Abstract |
平成11年度の研究実績を踏まえて、本年度(平成12年)の研究課題を当初、以下のように設定した。(1)サリーナス政権下メキシコの社会変容と政党構造再編を国際的契機をも視野に入れて巨視的・客観的に把握すること。その中で、(2)同政権の基本的政策(全国連帯プログラム)の具体的展開と、(3)その政策への国民の反応、とくに貧困層を中心とした社会運動とその意義を検討することであった。第1の課題は、「グローバリゼーションとメキシコ権力構造の再編:官僚機構のテクノクラート化をめぐって」(『政策科学』8巻3号)に発表した。本論文では国際的潮流であるネオリベラリズムがメキシコ官僚機構と政権党に及ぼした絶大な影響に焦点を当てた。第二の課題はほぼ原稿(仮題「メキシコにおける市民社会形成と全国連帯プログラムの交差」)ができており早い時期に発表したい。第三の課題についても次年度前半期には公表(仮題「現代メキシコにおける公共空間創出と新しい社会運動」)する予定で準備している。 本年度の残りの課題を充実させ、平成13年度の研究課題を具体化するために、本年3月6日から15日まで海外出張の機会が与えられた。研究機関としては、University of California, San Diego (Center for U.S.-Mexican Studies)、University of Texas, Austin (Center for Mexican American Studies)、そしてメキシコのUNAM(メキシコ国立自治大学)とColegio de Mexicoを訪問し資料提供を受けただけでなく、意見交換を行なった。また今後も継続的に研究支援を受ける体制の約束を受けたことは本研究の完成にむけて大きな実績を蓄積したと考える。さらに、今回、サリーナスが全国連帯プログラムの実施上もっとも象徴的に位置づけた地域、チャルコ(Chalco)を調査訪問できたことも今後につながる成果であった。
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Research Products
(2 results)