2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 顕三 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00175902)
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Keywords | 直接投資 / 環境 / 戦略的貿易政策 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続いて環境と直接投資の関連を理論的に分析するための基本的な枠組みの整理を行った。直接投資は企業の国際的な戦略としてとられることができるが、そのような戦略的な行動を分析するためには国際的な寡占市場を想定した枠組みも必要となる。そのような市場構造の下での企業の国際的な戦略として直接投資をとらえ、環境政策が資源配分や経済厚生に与える影響を分析した。なお、この研究は、国際貿易を専門とする他の研究者との意見交換や研究報告とその討論を中心に行おこなわれた。 まず、直接投資としての多国籍企業活動を不完全競争市場の下で分析したこれまでの論文をサーベイし、その基本的な枠組みとそのインプリケーションについて検討した。国際寡占市場のもとでの企業行動は80年代や90年代に流行した戦略的貿易政策論の枠組みの中で明らかにされてきたが、直接投資に関する議論はあまり行われてこなかった。多国籍企業の戦略的行動として直接投資をとられた分析を中心に整理を行った。 さらに、これまでの多国籍企業の分析には環境問題や環境政策の要因が取り入れられてこなかった。環境問題を外部性、あるいは外部不経済として定式化し、環境問題や環境政策が国際的な不完全競争市場の下での多国籍企業の企業行動に及ぼす影響について理論的な議論を整理した。
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