2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 顕三 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00175902)
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Keywords | 環境政策 / 直接投資 |
Research Abstract |
本年度の研究は、海外からの直接投資が存在する場合の最適な環境政策を中心に理論的な研究を行った。環境保全のための国内税や関税は、財・サービスの貿易取引に影響を与えるだけでなく、直接投資された外国企業へも影響を与える。したがって、本研究は、それらの影響も考慮に入れながら、最適な資源配分を達成するための課税ルールを導出した。 ここでは、自国企業と直接投資された外国企業が存在するような小国開放経済の部分均衡モデルを想定する。また、海外にも多数の企業が存在し、それらの企業はこの国に財を輸出している。この財の市場は完全競争的であると仮定する。さらに、環境の悪化はこの財の国内消費から生じるものと考える。この国の経済厚生は、消費者余剰、生産者余剰、政府余剰、および環境悪化による損失を足し合わせたものとして定義する。 このような枠組みのもとで、(i)消費税、あるいは(ii)国内生産税と関税の2種類の政策を考え、最適な課税ルールを検討した。まず消費税のみが利用可能な場合には、消費税率を限界的な損失に等しくすべきであるという結果を得た。これに対して、国内生産税と関税を利用する場合には、関税率を限界損失に等しくし、国内生産税率をそれよりも高い税率にすべきであるという結論を得た。 消費税を課すことは、同率の国内生産税と関税を課すことと同じである。したがって、これらの結論は、直接投資が存在する場合には消費税を用いるよりも、国内生産税と関税を組み合わせることでより高い経済厚生が達成できることを意味している。
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