1999 Fiscal Year Annual Research Report
ゲーム理論から見た労働市場と関連政策の理論的および実証的研究
Project/Area Number |
11630017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
グレーヴァ 香子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (10219040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
グレーヴァ ヘンリク 筑波大学, 社会学系, 助教授 (60280905)
赤林 英夫 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (90296731)
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Keywords | 労働 / ゲーム / ジョブサーチ / 家庭 / 賃金 / 戦略 / 実証 |
Research Abstract |
グレーヴァ香子は、企業が労働者のジョブサーチを考慮して賃金を戦略的に設定する理論モデルをゲーム理論を用いて分折し、"The Role of Expectation in Job Search and the Firm Size Effect on Wages"(グレーヴァ=ヘンリクと共著)にまとめた。参考文献の検索、ワープロ、均衡の計算などのためにコンピューターを活用した。また、モデルを拡張して、一般の状況にもあてはめられる形のゲームの均衡も分析し、"Efficiency and a Folk Theorem of Voluntary Partnerships with no Information Flow"にまとめ、Southern Economic Theory Conferenceで発表し,フィードバックを得た。赤林は、家庭内の労働と消費の配分がどのように決まるのかを日本のデータで実証するための準備を行った。データはヒグチパネルを使用し、税制との関係について特に注目するための資料も収集した。データの整理には研究補助員を使ってコンピュータに入力、保存を行った。また、実証に用いる統計モデルと理論モデルの内容について、グレーヴァ香子と研究を行っている。グレーヴァ=へンリクは、労働者のジョブサーチ行動が賃金、家族構成、家庭内での所得に占める本人の所得の割合、などにどう関係しているかを実証するためのアメリカのデータを収集し、コンピューターに整理、保存を行った。また、すでに保有していたノルウェーのデータを用いて、上記共著論文においてジョブサーチと賃金との関係を実証分析した。これらからわかったことは、労働者、企業とも戦略的に行動しており、家族の中での役割、外部からのオファーなど個人対企業という図式ではとらえられない要因が重要だということである。来年度はこれを踏まえ、本年度に収集したデータでの実証分析、政策提言を行いたい。
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