1999 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の消費財メーカーにおけるマーケティング戦略の経営史的研究
Project/Area Number |
11630088
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐々木 聡 明治大学, 経営学部, 教授 (40205844)
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Keywords | トイレタリー産業 / 食品産業 / 流通戦略 |
Research Abstract |
今年度は,まず第1に,戦後の企業発展の前史である戦前期・戦時期の政府の流通政策史料の調査と,トイレタリー企業の人的資源の基盤形成に関する史料について調査した。前者の戦前・戦時期の政府の流通政策史料については,各種の日常生活品全体に及ぶ史料に接することとなって,当初予定の範囲を越える幅広い調査となった。後者のトイレタリー産業の人的資源の基盤形成については,1930年代の花王のケースによって検討した。これによって,1920年代後半に進んだ高学歴化によって輩出された新しい人材を吸収しながら、多様な新製品開発と流通網の整備を展開したことが明らかとされた。これについては,共著研究書の一部として発表の予定である。 第2に,戦後のトイレタリー産業の企業戦略について,花王に対するライオンの競争戦略の展開という視点から調査した。この調査によって,ライオンの流通戦略は,花王の販社政策に対する差別化戦略という意図をもって展開されたが,戦略の本質そのものに内包する矛盾によって,同質的競争とならざるをえなかったことが明らかにされた。これについても,上に述べた研究書とは別の共著研究書の一部で発表の予定である。 第3に,食品産業については,味の素について,前の経営者のインタビューという形式で調査を実施した。この調査によって,各地域の問屋間の規模と範囲の格差や,商業取引上のかけひきの実際を知ることができたが,学術的視点から多くの検討すべき諸点も発見された。
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Research Products
(2 results)