2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640092
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 睦 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (80182426)
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Keywords | Steenrod代数 / 非安定加群 / 群スキームの表現 / 双対Steenrod代数 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き,標数pの素体F_pを係数とする空間の常コホモロジー群を双対スティーンロッド代数で表現される群スキームの表現空間であると見做すための理論的枠組みの構築についての研究を重点的に行った.本年度はスティーンロッド代数上の非安定加群についての考察を行い,非安定加群の概念をフィルトレイションが定義された代数上の加群に以下のように一般化した.すなわち,体K上の代数A^*には部分空間による増大するフィルトレイション…⊂F_iA^*⊂F_<i+1>A^*⊂…が定義されており,α:A^*【cross product】M^*→M^*が左A^*-加群ならば,μ(F_<i-1>A^*【cross product】M^i)={0}がすべての整数iに対して成り立つとき,M^*を非安定A^*-加群と呼ぶ.特に,スティーンロッド代数A^*_pにおいて,excessが-i以下のadmissibleなmonomialで生成される部分空間をF_iA^*_pで表せば,A^*_pの増大するフィルトレイション(excessフィルトレイションと呼ぶことにする)が得られるが,この場合の上記の非安定加群の定義は(M^*の次数の符号を変えれば)従来の非安定加群の定義と一致する.本年度の研究では,双対スティーンロッド代数において上記のフィルトレイションの双対フィルトレイション{F_iA^<**>_p}_<i∈Z>を考えて,まず各F_iA^<**>_pの基底を求め,その結果を用いてもとのF_iA^*_pの基底をMilnor basisを用いて記述した.これによって,excessフィルトレイションが以下のような性質を持つことを示した.E^j_iA^*_p=(F_iA^*_p)^j/(F_<i-1>A^*_p)^jとおき,ここではスティーンロッド代数A^*_pは負の次数付けをもつ(すなわちi>0ならばA^i_p={0})ものとする. ・次の1),2),3)の何れかを満たせばE^k_iA^*_p={0}である。 1)i+k〓0,-2modulo2p.2)k>i(p-1)かつiは偶数.3)k>(i+1)(p-1)-1かつiは奇数. ・i【less than or equal】0ならばdimE^<2i(p-1)>_<2i>A^*_p=dimE^<2i(p-1)-1>_<2i-1>A^*_p=1. ・スティーンロッド代数の積は次の同型写像を誘導する. E^<2i(p-1)>_<2i>A^*_p【cross product】(A^*_p/F_<2i-j-1>A^*_p)^j→E^<2i(p-1)+j>_<2i-j>A^*_p, E^<2i(p-1)-1>_<2i-1>A^*_p【cross product】(A^*_p/F_<2i-j-2>A^*_p)^j→E^<2i(p-1)+j-1>_<2i-j-1>A^*_p 上記の結果は,フィルトレイションをもつ標数pの体K上の代数A^*が与えられたとき,A^*上の非安定加群の理論が正しく構築されるためにA^*のフィルトレイションが満たすべき条件を与えている.
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