1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640418
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
後藤 和彦 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (20244220)
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Keywords | 稍深発地震 / サイスモテクトニクス / メカニズム解 / フィリピン海プレート / 南九州 |
Research Abstract |
南九州下の稍深発地震は,日本中で最も急傾斜の面上で発生しており,また薩摩半島下の深さ160km付近の活動は日本で最も活発であるなど,特有の特徴を有している.しかしながら,この領域の地震観測網の整備は不十分であったため,活動の詳細は把握できていなかった.本研究は観測網の空白域である鹿児島県鹿児島郡竹島で臨時観測を行ない,そのデータと既設の観測点データを併合処理することにより,この領域に発生する稍深発地震活動の特徴を明らかにすることである.平成11年度は竹島に臨時地震観測点を設置し,観測を開始した.トリガ方式で現地観測機器に収録された観測データは,一般回線を用いた呼び出し方式で鹿児島大学に伝送している.現在は,観測データを蓄積している段階であり,まだ本格的な解析は始めていない.既設の観測点のデータについては,1998年以降に発生したものについて,地震波初動到達時間などの再検測を行っている.竹島観測点のデータがある程度揃った段階で震源再決定を行う予定である.一方,既設の観測データを用いた稍深発地震のメカニズム解の解析は開始した.現在までに得られている結果では,南九州下の稍深発地震のメカニズム解は,他の島弧で多く見られるような単純なdown-dipcompression型あるいはdown-dip extension型とはならず,海洋プレートが島弧下に沈み込む方向以外の力がプレート内に作用しているものと推定される.今後の解析により,稍深発地震面(沈み込むフィリピン海プレート)の形状が明らかになるとともに,この領域のサイスモテクトニクスの理解が進むものと思われる.
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