2000 Fiscal Year Annual Research Report
光化学系1複合体のアセンブリー装置の分子生物学的解析
Project/Area Number |
11640649
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 裕一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50183447)
|
Keywords | 光合成 / 光化学系複合体 / 生合成 / 葉緑体遺伝子 / 緑藻クラミドモナス / 葉緑体形質転換 / Ycf4タンパク / タンパクの精製 |
Research Abstract |
光化学系1複合体の合成に必須で、葉緑体遺伝子にコードされるYcf4タンパクは、複合体を形成し光化学系1複合体のアセンブリー装置として機能することを示してきた。本研究では、緑藻クラミドモナスのチラコイド膜のYcf4複合体の精製を進め、光化学系1複合体のアセンブリー装置の構造解析を進めた。 まず、チラコイド膜の可溶化条件の検討を行い、従来用いていたTriton X-100よりドデシルマルトシドの方がその後のYcf4複合体の精製に適当であることが分かった。そこで、チラコイド膜をドデシルマルトシドで可溶化後、ショ糖密度勾配超遠心法でYcf4と光化学系1複合体を含む画分を分離した。さらに、DEAE-Toyopearlイオン交換クロマトグラフィーでYcf4を高度に分離できることが分かった。また、FPLCによるSuperdex S-200やSuperose 6を用いたゲルろ過クロマトグラフィーもYcf4複合体の精製に有効であることが分かった。これらクロマトグラフィーによる分離の結果、Ycf4複合体は少量の光化学系1反応中心タンパクを結合していることが確かめられた。さらに、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分離の結果、Ycf4複合体の見かけの分子量は数十万以上と予想以上に大きいことが明らかになった。 今後は、Ycf4複合体を生化学的に高度に純化し、そのタンパク組成を決定し、それらのcDNAクローンをクラミドモナスのESTデータベースから検索し、その塩基配列の決定を進めたい。また、合成途中の光化学系1がYcf4複合体と結合していると考えられるので、このYcf4-PS1複合体の光合成色素組成や光化学活性などの解析も進めていきたい。
|
-
[Publications] Hatano-Iwasaki,A.,Minagawa,J.,Inoue,Y.,and Takahashi,Y.: "Characterization of chloroplast psbA transformants of Chlamydomonas reinhardtii with impaired processing of a precursor of a photosystem II reaction center protein, D1."Plant Molecular Biology. 42. 353-363 (2000)
-
[Publications] Hatano-Iwasaki,A.,Minagawa,J.,Inoue,Y.,and Takahashi,Y.: "Two distinct manganese clusters formed by introducing a mutation in the carboxyl-terminus of a photosystem II reaction center polypeptide, D1, of the green alga Chlamydomonas reinhardtii"Biochimica et Biophysica Acta. (in press). (2001)
-
[Publications] 高橋裕一郎,福澤秀哉: "モデル生物として注目される緑藻クラミドモナス"蛋白質核酸酵素. 45. 1937-1945 (2000)