1999 Fiscal Year Annual Research Report
インド太平洋域における海産トウゴロウイワシ科魚類の分類学的再検討
Project/Area Number |
11640696
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
木村 清志 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00115700)
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Keywords | 分類学 / トウゴロウイワシ科 / ヤクシマイワシ属 / インド洋-太平洋域 / 同物異名 |
Research Abstract |
今年度は当初の研究実施計画に記載したとおり,沖縄島とインドネシアのスラウェシ島において,トウゴウロウイワシ科の現場採集を行った.また,また,世界各地の博物館から模式標本を含む大量の標本を借用した.これらの標本に基づいて,特にインド洋-太平洋域のヤクシマイワシ属について分類学的再検討を行った結果,次のような新知見が得られた. 1.従来誤った形質が記載され,これが原因で極めて重大な混乱状態に陥っていたAtherinomorus endrachtensisについて,明確な識別形質を明らかにした.さらに,A.endrachtensisとしばしば混同されていたA.duodecimalisについても識別特徴を明確にするとともに分布域を明らかにし,日本にも本種が分布することを明らかにした. 2.従来A.lacunosusの新参同物異名にされていたA.vaigiensisとA.cylindricusはそれぞれ別の有効種であることが示唆され,A.vaigiensisはA.ogilbyiの古参同物異名である可能性が高くなった. 3.従来分類学的地位が不明であった,A.reginaとA.crenolepisはそれぞれヤクシマイワシ属の有効種であることや,A.lineataはA.endrachtensisの,A.balabacensisはA.duodecimalisのそれぞれ新参同物異名であることを明らかにした.さらに,インド洋-太平洋域に分布する従来A.lacunosusとされていた種には2型がみられ,また紅海産のA.lacunosusも形質が異なることから,これらはそれぞれ別の有効種であることが示唆された. 4.以上のことからインド洋-太平洋域に分布するヤクシマイワシ属魚類は11種であると考えられた. 5.トウゴロウイワシ科魚類の調査に付随して行われたヒイラギ科魚類の研究で,新たに1新種が認められた.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 木村清志: "A new species,Gazza rhombea,from the Indo-West Pacific,with a redescription of G.achlamys Jordan & Starks,1917(Peraformes : Leiognathidae)"Ichthyological Research. 47・1. 1-12 (2000)