1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640711
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
近藤 信太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (60186848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名取 真人 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (30189188)
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Keywords | 霊長類 / 新世界ザル / リスザル / 大臼歯 / 歯根 / 退化 / 根間稜 / 歯槽 |
Research Abstract |
ほとんど記載がされていない新世界ザルの歯根形態を記載することを目的として,リスザル臼歯の歯根形態を観察した。材料は京都大学霊長類研究所および獨協医科大学に保管されているリスザルの頭蓋骨101個体を用いた。本年度は上顎大臼歯を対象とした。歯根の観察は歯根数,各歯根の位置関係,歯根の融合状況,根間稜の有無およびその形態について行い,併せて歯槽の形態も観察した。これらの項目をデータベース化して分析を行った。 頬側2根,舌側1根の計3根がみられる基本形は第一大臼歯に見られた。遠心位の歯では歯根の融合傾向が強くなり,頬側の歯根が融合して2根,さらに融合が強くなると1根の場合もあった。歯根数は第一大臼歯ではすべての個体で3根(N=99),第二大臼歯では3根が79.3%,2根が20.7%(N=92),第三大臼歯では2根が65.4%,1根が34.6%(N=81)であった。3根ではあるが,頬側根が融合して2根間に溝が見られるものは第一大臼歯では25.5%(N=98),第二大臼歯では75.3%(N=73)であった。根間稜は第一・第二大臼歯にみられ,その形態は3根の場合にはY型であったが,歯根の癒合が強くなるとT型,あるいは一型となった。また,2根の場合には一型であった。根間稜は隣接面から見ると,歯根長の約1/3〜1/2を占めるものが過半数を占め,第二大臼歯の方が長い傾向を示した。歯槽の形態は3根性の場合でも根間中隔は認められず,歯根離開の程度が小さいことが示唆された。歯冠のサイズは遠心位の歯ほど近遠心径が小さくなる傾向が強い。以上の結果から,遠心位の大臼歯では近遠心径の縮小にともなって歯根の融合傾向が強くなることが示された。
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