2001 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質多量体分子がタンパク質結晶の成長ならびに品質に及ぼす影響
Project/Area Number |
11650023
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 俊隆 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20237308)
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Keywords | タンパク質 / リゾチーム / 不純物 / 結晶 / 成長ステップ / 原子間力顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、さらなる展開として、不純物がどのように結晶にとりこまれていくかを明らかとするために、吸着過程を定量的に議論するシステムの開発を行った。さらに、異種タンパク質についてもこれまでと同様の実験を行い、結晶の外形と不純物取り込みとの相関を明らかとした。 (1)原子間力顕微鏡(AFM)によるタンパク分子吸着過程観察法の開発 疎水性・親水性の物質に対して、変成していないlysozymeと共有結合多量体を形成したlysozymeにおいてどのように吸着特性が異なっているのかを、AFM観察及び分光光度計にによる濃度変化の測定から捉えることを試みた。この目的のために溶液を交換しながらAFM観案することが可能なシステムを新たに開発し、これを用いてまず、変成していないlysozymeが雲母基板上に吸着する過程を調べた。この結果、濃度がごく薄い(未飽和な状態)においてもlysozymeが層状に吸着し、また、濃度に依存し、その厚さを不連続に変化させることが明らかとなった。また、この時の吸着速度、吸着量は溶液のpHに依存することから、lysozymeのもつ電荷と基板との静電的相互作用が重要な役割を果たしていることが示された。 (2)異種タンパク不純物の取りこみ量と結晶外形の関係 lysozymeよりやや大きなサイズをもつタンパク分子(ovotransferin)を不純物として用い、AFMによる不純物吸着過程の「その場」観察ならびに蛍光顕微鏡による不純物量の定量測定を行った。この結果、多量体不純物と同様に(101)面と(110)面では有意に取りこみ量が異なっており、また、これに伴って結晶の外形に変化が見られた。このような外形の変化は、結晶の成長速度が不純物により変化することによって説明することができる。
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Research Products
(1 results)