2000 Fiscal Year Annual Research Report
バイオセラミック傾斜機能コーティングインプラントの力学的特性評価
Project/Area Number |
11650073
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柴野 純一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60206141)
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Keywords | 生体材料 / セラミックス / 傾斜機能材 / 残留応力 / X線法 / プラスマ溶射 / 3点曲げ / はく離 |
Research Abstract |
1.X線法によるバイオセラミック傾斜機能コーティングインプラントの残留応力測定 (1)X線法を用いてハイドロキシアパタイトコーティング試料の残留応力を測定した。測定には特性X線Mo-Kαを用い、管電圧と管電流は40kV-40mAとした。測定回折面は、ハイドロキシアパタイトがHAp(002)面、チタンがTi(103)面である。測定の結果、HAp単層材のコーティング層には約295MPa(標準偏差48MPa)の圧縮残留応力、HAp傾斜材には約224MPa(標準偏差72MPa)の圧縮残留応力が生じた。このことから、コーティング層を傾斜機能化することにより圧縮応力が低減することが明らかになった。 (2)コーティングインプラントのコーティング層はく離強度を3点曲げ試験で評価した。試験片寸法は、幅10mm、厚さ2mm、長さ60mmである。支点間距離は42mmとした。コーティング層が引張負荷側となるように試料を設置した。各試料ともたわみが3mmになった時点で負荷を止めた。はく離の大きさを比較するために,はく離領域を三角形に近似してその面積を測定した。その結果、はく離領域の面積は単層コーティング試料が10.9mm^2、傾斜機能コーティング試料が4.6mm^2であった。このことから、コーティング層を傾斜機能化させることによってはく離強度が増すことが明らかになった。 2.研究のまとめ バイオセラミック傾斜機能コーティングインプラントの力学的特性を、残留応力とはく離強度の観点から評価した。その結果、単層コーティングインプラントに比べ、コーティング層の残留応力の減少とはく離強度の増加が確認され、力学的特性の向上が認められた。
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