2000 Fiscal Year Annual Research Report
パッシブな自然エネルギー利用伝統的技術の考察とその今日的応用
Project/Area Number |
11650223
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢田 順三 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 正倫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60027810)
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Keywords | 自然エネルギー / エネルギーのパッシブ利用 / 伝統的技術 / 伝統的家屋 |
Research Abstract |
伝統的家屋は、その地域で産出される、木、草、土、石など、そのほとんどが再生可能な材料で建設されて来たことが大きな特徴である。これらの材料は、数千年に亘って人体に無害であることが証明されているのに対し、近年使用されて来た新建材については、数々の問題点が指摘されるに至っている。伝統的家屋を今後そのままの様式で維持していくことは不可能としても、持続可能な社会におけるエネルギー利用技術のあるべき姿は、伝統的家屋の自然エネルギー利用技術のなかに見出されるものと期待されている。 本年度は3年計画の研究の第2年度にあたるが、昨年度に引き続いて自然エネルギーのパッシブ利用伝統的技術の状況を、米国ニューメキシコ洲タオス・プエブロのアドーベ(日干しレンガ)住居において実施調査した。この地域一帯には、ネイティブな住民のための2種類のアドーベ住居があり、1つは建設から100年以上経過した伝統的住居で、他は移住してきた住民のために伝統的工法を取り入れて新しく建設されたものである。 新建材においては、吸放湿特性について問題ありとされている点を考慮し、伝統的家屋を形成する材料である、木材、土、石について、その吸放湿特性(湿度の自然調節)について調査を行った。 歴史的または伝統的家屋における自然エネルギー利用状況を再現するために、昨年開発したシミュレーション用プログラムを、1部屋だけの最も単純な構造の家屋モデルに適用し、標準的な年間外気条件のもとで、1時間毎の室内温度および湿度の計算を1年間に亘って行い、屋根および壁の材質・厚み等が、これらに及ぼす影響を調べた。また、多数室の計算については、最終的に市販のプログラムSMASH for Windows Ver.2(住宅用熱負荷計算プログラム)を使用することも考慮し、このプログラムを伝統的家屋の熱的計算に適用する際の問題点乃至は留意点について、検討を行った。
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