2001 Fiscal Year Annual Research Report
パッシブな自然エネルギー利用伝統的技術の考察とその今日的応用
Project/Area Number |
11650223
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢田 順三 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 正倫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60027810)
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Keywords | 自然エネルギー / エネルギーのパッシブ利用 / 伝統的技術 / 伝統的家屋 / 自然冷媒 |
Research Abstract |
国内外の実地調査および文献調査に基づいた考察により、持続可能な循環型杜会において、パッシブな自然エネルギー利用伝統的技術が主要な役割を果たすと論じた。今日の科学技術は華々しい成果をもたらしている反面、環境破壊というマイナスの部分があるのに対して、伝統的技術は環境調和型である。科学技術の進歩した現在でも、エネルギーの効率については厳然とした限界がある。現代杜会は、経済に支配されており、経済的に成立たないために、樹木を育てるべき森林や食料を生産すべき田園が放置される場合がある。持続可能な地球、循環型杜会を目標とするときには、自然エネルギーの内容を、いわゆる自然エネルギーに限定せず、これらに森林や食料を含む植物(場合によっては動物)を加えたものを、広義の自然エネルギーとし、これらすべてを一体として取扱うことの妥当性を論じた。 循環型杜会に使用される作動流体として、自然作動流体(自然冷媒)の熱物性をまとめた。 歴史的または伝統的家屋における自然エネルギー利用状況を再現するために、昨年度までに開発したシミュレーション用プログラムを、一部屋だけの最も単純な構造の家屋モデル(立方体型、三角屋根型、竪穴式型)に適用し、標準的な年間外気条件のもとで、1時間毎の室内温度および湿度の計算を冬季及び夏季について行い、屋根および壁の材質(萱、木材、土、岩石)が、これらに及ぼす影響を調べた。その結果、萱を用いた場合が、最も室内温度変動は小さく且つ保温性が良いこと、木材および土壁(漆喰)を用いた場合、室内湿度を外気湿度より低く保つことができること、縦穴式住居の場合、湿度が高いという問題はあるものの、冬は暖かく、夏は涼しいという室内環境が実現されることが示された。
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