2000 Fiscal Year Annual Research Report
気体中放電による重水素吸蔵金属電極からの過剩熱発生と電極表面生成物に関する研究
Project/Area Number |
11650276
|
Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 弘 岩手大学, 工学部, 教授 (60125482)
|
Keywords | 重水素 / パラジウム / 過剰熱 / 水素吸蔵 / グロー放電 / 核変換 / オートラジオグラフィー / SIMS |
Research Abstract |
円筒状低気圧グロー放電用ガラステストセルを用い、内部の重水素ガス圧を3Torrとして低気圧グロー放電状態を30分から90分保ち、この間にヘリウム3比例係数管による過剰中性子計測およびNaIシンチレーションカウンターによる高エネルギー電磁波(γ線およびX線)の計測を行った。放電終了後にパラジウム試料を取り出し、試料表面に対する2次イオン質量分析(SIMS)を行った。電極構成は棒(正)対平板(負)であり、平板電極上に重水素を吸蔵させた厚さ0.1mm、直径10mmのバラジウム円板を配置した。中性子とガンマ線の計測ではいずれもバックグランドを越える検出はなかったが、SIMSの結果、放電前のパラジウム電極表面には全く観られないベリリウムとニッケルが放電後に検出された。放電の前よりも後で大きく検出量が増す元素もある。シリコンは放電後に約10^4から10^6倍に増えた。ナトリウム、アルミニウム、カルシウムは約10^3から10^6倍に増えた。マグネシウムとマンガンは約100から3×10^4倍に増えた。さらに、鉄と銅が新たに検出されることがある。 さらに補足実験として、重水素を吸蔵させたパラジウム板の片面のみを厚さ200nmの酸化マンガンで被覆し、これに真空中で4アンペアの直流電流を3時間流し、その際のパラジウム試料の温度変化を調べると同時に放出されるガスの質量分析を行った。ガスの急激な放出が起こる場合にパラジウム試料の温度が急激に高くなる。多くの試行で質量数4の分子の放出を観ており、この分子は重水素分子(D_2)、HT、ヘリウム(^4He)のいずれかであることが分かった。実験後の試料に対するオートラジオグラフィーにおいてフィルムを感光させる放射線はβ線もしくはX線と考えられる。SIMSにより質量数^7Li、^<23>Na、^<39>Kに対応する元素が多量に生成されていることが確認された。これらの結果は表面近傍で核反応が起きていることを示している。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 山田弘 他5名: "グロー放電法および真空法による重水素化バラジウムにおける放射性元素の生成"第1回固体内核反応研究会予行集. JCF-10 (1999)
-
[Publications] 山田弘 他4名: "真空法およびガス貫流法による重水素化パラジウムにおける生成物"平成11年度電気関係学会東北支部連合大会講演予稿集. 2B22 (1999)
-
[Publications] 山田弘 他5名: "パラジウム電極を用いた重水素中グロー放電における放射線計測と元素分析"平成11年度電気関係学会東北支部連合大会講演予稿集. 2B23 (1999)
-
[Publications] A.Arapi,H.Yamada et al.: "Nuclear Reaction in Deuterated Palladium Electrodes under DC Glow Discharge"平成12年度電気関係学会東北支部連合大会講演予稿集. 2C9 (2000)
-
[Publications] A.Arapi,H.Yamada et al.: "Nuclear Reaction in Deuterated Palladium Electrodes under DC Glow Discharge"第2回固体内核反応研究会予行集. JCF2-14 (2000)
-
[Publications] S.Narita,H.Yamada et al.: "Detection for Nuclear Products in Palladium Deuteride/Hydride in the Evacuated Chamber"第2回固体内核反応研究会予行集. JCF2-15 (2000)
-
[Publications] H.Yamada et al.: "Producing a Radioactive Source in a Deuterated Palladium Electrode under Direct-current Glow Discharge"FUSION TECHNOLOGY. Vol.39,No.2. 253-259 (2000)
-
[Publications] 山田弘 他6名: "固体内核反応研究"株式会社工学社. 287 (1999)