1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境要素の適度な変動を利用する建築環境システムに関する研究
Project/Area Number |
11650613
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
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Keywords | 建築環境システム / エクセルギー / エントロピー / 変動 / 涼しさ / ほどよい明るさ / 自然エネルギー / パッシブ建築 |
Research Abstract |
●通風環境下で「涼しさ」が得られる気流速度の波形を明らかにするとともに、「涼しさ」と人体エクセルギー収支の対応関係を求めた。「涼しさ」が得られるときは、得られないときに比べて気流速度の振幅が2倍以上大きく、その波形の特徴はゆっくりとした下降に引き続く急激な上昇であることが明らかになった。また、「涼しさ」が得られるときの人体内部でのエクセルギー消費速度は、得られないときより大きく、消費速度0.9W/m^2を中心にして、振幅が最大で0.1W/m^2程度であることがわかった。 ●躯体蓄冷によってもたらされる「涼しさ」と躯体に蓄えられた冷エクセルギーの関係を明らかにした。建物における日射の遮へいと断熱をしっかり行なうことによって、躯体に冷エクセルギーが効率よく蓄えられ、それが放出されることによって「涼しさ」が得られることがわかった。 ●入室経路や着衣の違いが、在室者の温冷感や行動に与える影響を、通風室や冷房室での被験者実験によって明らかにした。通風室では、冷房室に比べて在室者があおいだり、汗を拭くなどの行動を積極的に行なうこと、入室経路に日射があたらないような「涼しい」経路を選択し着衣量の小さくすれば、十分涼しく過ごせることがわかった。 ●廊下と室内間での暴露照度の変化の仕方によって、室内で「ほどよい明るさ」がどの程度得られるのかに着目した被験者実験を行なった。廊下における暴露照度を小さく抑えれば、入室直後の電灯照明の点灯の必要性を感じさせないこと、窓側では昼光だけで十分な「ほどよい明るさ」をもたらすことがわかった。 ●自然のポテンシャルを活かすよう計画された大学キャンパスにおける建物毎・用途毎の電力使用パターンを、キャンパス全体の電力使用量と使用スケジュールなどから推定する方法を開発し、推定した電力使用パターンが概ね妥当であることを確認した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 斉藤雅也,宿谷昌則: "「涼しさ」を感じる気流に関する屋外での実測とその解析"日本建築学会 計画系論文集. 第523号. 39-44 (1999)
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[Publications] 伊澤康一,斉藤雅也,宿谷昌則,岩村和夫: "深沢環境共生住宅における躯体蓄冷による涼房効果のエクセルギー解析"日本太陽エネルギー学会研究発表会太陽/風力エネルギー 講演論文集. 377-380 (1999)
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[Publications] 高橋達,斉藤雅也,蟻川洋祐,杉岡弘朗,松岡弘幸,宿谷昌則: "夏季における住まい手の熱環境調整の行動と温冷感に関する観察方法の研究"日本建築学会 計画系論文集. 第531号掲載決定. (2000)
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[Publications] 田辺俊彦,小名秋人,宿谷昌則: "設定照度の低下が視的快適性と照明・冷暖房用電力に与える影響"日本建築学会大会(中国)学術講演梗概集. D-2. 405-408 (1999)
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[Publications] 湯沢英子,高橋達,宿谷昌則: "武蔵工業大学横浜キャンパスにおける電力使用量の推定方法の開発"日本建築学会大会(中国)学術講演梗概集. D-2. 435-436 (1999)
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[Publications] 斉藤雅也,宿谷昌則: "建築環境システム評価のための人体のエクセルギー解析"日本建築学会 環境工学委員会 熱環境小委員会 第29回熱シンポジウム 講演資料集. 45-50 (1999)
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[Publications] 宿谷昌則: "自然共生建築を求めて"鹿島出版会. 189 (1999)