2001 Fiscal Year Annual Research Report
環境要素の適度な変動を利用する建築環境システムに関する研究
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11650613
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (20179021)
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Keywords | 建築環境システム / 変動 / エクセルギー / エントロピー / 自然エネルギー / ほどよい冷たさ / 採冷 / ほどよい明るさ |
Research Abstract |
●ヒトの「感覚-運動」系の構成を整理することによって、自然共生建築との対応関係について考察を行なった。建築環境は、脳の三層構造を貫いて「快」と価値付けられるような環境であるべきことを考察した。いわゆる環境教育は、脳の第二層で「快」と価値付けられる方法によると効果的であることがわかった。 ●視・聴・嗅覚の相互作用が、ヒトの温冷感覚にどのような影響を与えるのかを明らかにした。被験者の受ける光や音の情報の違いは、温冷感に影響することがわかった。 ●冷房空問と屋外の往来がヒトの疲労感に与える影響について明らかにした。冷房空間と屋外の往来に伴なう疲労は、往来の頻度が多いと生じやすく、冷房室と屋外を往来する人体のエクセルギー消費は、通風室と屋外を往来する人体のそれよりも大きくなり、人体での疲労と対応関係があることがわかった。 ●日射遮蔽や断熱などのパッシブ手法が施された建築空間にふさわしい、できるだけ高い温度の冷水を用いた放射冷却パネルによる採冷の効果を明らかにした。25℃程度の冷水を用いた放射冷却パネルによる採冷は、小さな冷エクセルギーで、熱的快適性(「ほどよい冷たさ」)が得られる空間を実現した。 ●ヒトの時間把握能力と体内時計の視点から、昼光照明がヒトにとって如何に自然であるかを被験者実験によって明らかにした。普段から昼光を照明として利用する人は、電灯照明を使う人に比べて、比較的低い照度で十分な明るさ感を得ることができることがわかった。昼光照明のみを行なった部屋では、電灯照明のみをおこなった部屋よりも、被験者が比較的時間を正確に把握できることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宿谷 昌則: "自然共生建築とヒトの「感覚-運動」系にかんする考察"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 437-438 (2001)
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[Publications] 隈元 孝行, 近藤 大翼, 斉藤 雅也, 宿谷 昌則: "視・聴・嗅覚が温冷感覚に与える影響に関する研究"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 439-440 (2001)
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[Publications] 斉藤 雅也, 宿谷 昌則: "冷房空間と屋外の往来に伴なう疲労感に関する研究(その3.人体のエクセルギー消費に考察)"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 445-446 (2001)
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[Publications] 森 一顕, 伊澤 康一, 直井 隆行, 高橋 達, 宿谷 昌則: "放射冷却パネルによる採冷の研究(その1.パネルの自作と実測結果)"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 457-458 (2001)
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[Publications] 直井 隆行, 伊澤 康一, 森 一顕, 高橋 達, 宿谷 昌則: "放射冷却パネルによる採冷の研究(その2.温冷感・快適感に関する被験者実験)"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 459-460 (2001)
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[Publications] 竹内 亜沙美, 西坂 裕子, 田辺 俊彦, 斉藤 雅也, 宿谷 昌則: "昼光・電灯光の違いが明るさ感と体内時計に与える影響(その2.住まい方の違いと明るさ感)"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-2. 557-558 (2001)