2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11650660
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤澤 彰 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (10190026)
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Keywords | 神仏分離 / 廃仏毀釈 / 社寺の景観 / 新京極 / 上知 |
Research Abstract |
平成11年度の研究において、明治期の神仏分離・廃仏毀釈が大きく都市景観に影響を及ぼした例として、京都の円山公園一帯の社寺をとりあげ、近世と近代においてその景観を比較した。本年度は、京都においてやはり神仏分離・廃仏毀釈が大きな影饗を及ぼした新京極一帯の社寺をとりあげ、以下の諸点を明らかにした。 (1)寺町は近世初頭に秀吉の都市計画により形成されたが、江戸中期にはすでに芝居小屋・見世物小屋・寄席興業の場となっており、単純単一の宗教空間ではなく、都市の遊興空間となっていた。これは近代における新京極の性格をすでに規定するものであった。 (2)新街路、新京極通は寺町通の東に南北に開通したが、これは寺町を形成する社寺群のうち西面する比較的大きな境内をもつ社寺の敷地を上知し、表門(西門)と本堂あるいは本殿の間に新街路を開削したもので、社寺の景観は一変した。 (3)上記(2)においてもっとも景観の変貌が大きかった社寺として、本能寺・錦天神・誓願寺・四条道場金蓮寺をあげることができる。 (4)開発の手法は、寺町界隈の比較的大規模の社寺の上知により、新街路を開通し、遊興施設を集中誘致し、つづいて一般商業施設を誘引するという手法で、京都府の行政主導型であり、円山公園・祇園の整備と共通し、上知によって生じた都市内部の空閑地の再利用であった。 (5)その後、社寺も土地の切り売り、借地経営をするようになり、境内は一段と狭隘化した。これは遊興施設の存在という面は共通するものの、景観上は近世と大きく異なるものである。
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Research Products
(1 results)