1999 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的な建物の活用nともなう保存修復の具体的なあり方の研究―事例集と指針の作成
Project/Area Number |
11650669
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
木村 勉 奈良国立文化財研究所, 建造物研究室, 室長 (60280608)
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Keywords | 保存 / 修復 / 活用 / 歴史的建造物 / 復原 |
Research Abstract |
建物の保存にあたって近年新たな課題となっている点のひとつは、保存と町づくりを目的とする歴史的な建物の活用の重視である。とくに、もともと使用頻度が高く大規模な近代建築や近代化遺産、そして、住まいとしての住宅建築など、それらの保存をはかるためには建物を使い続けることが不可欠であり、何らかの用途が必要となる。その際に現代の社会生活や社会基盤の変化にともない、構造上の安全の確保、用途の変更や使用しやすくするための建物の部分的な改変、設備類の新たな設置、施設の増設などが求められる。ただし、これらの変更にあたっては、建物の文化財的な価値をできるだけ損なわないことが前提となる。保存修復は基本理念を失うことなく、それにもとづいた適切な保存修復がなされなければならない。 これまでに直接担当した保存修復の設計監理、その後の学識経験者としての保存修復に対する指導・助言、近代化遺産および近世民家の調査参加、今年度までの科学研究費補助による保存修復に関する研究など、それら自己の経験に加え、修理工事報告書、その他資料を参考にして、現在の歴史的な建物の活用にともなう保存修復の考え方と方法について、おおよその問題点と課題を整理する。修復された各地の歴史的な建物からできるだけ多くの事例を選択のうえ、実地調査をおこなって分析評価し、あり方、対策を検討する。 平成11年度はこれまでの自己の研究、その他資料により、問題点・課題を整理し、修復し活用されている歴史的な建物のリストを作成。リストから選択した、活用にともなう修復事例の現地調査をおこなった。
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